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西側諸国リビア干渉の結末と教訓

                          郭憲綱 (中国国際問題研究所副所長)

 

 昨年3月19日、フランスのリビア空爆を皮切りに、NATO(北大西洋条約機構)を中心とした多国籍軍の半年余りに及ぶリビア軍事干渉が始まった。反対派は西側諸国の助けの下で、リビアを40年余りの長きにわたって統治してきたカダフィ政権をついに倒した。

3月9日、リビアの首都トリポリ市中心にある殉教者広場で、プラカードと国旗を手に、東部自治に反対する抗議活動に参加する人々 (AFP)

 

西側諸国のリビアへの軍事干渉により、人口わずか600万のリビアで2万人以上が死傷、70万人以上が難民となった。しかし、この重い代価は予期されたような繁栄や安定、団結をリビアにもたらさなかった。一族統治のカダフィ政権を倒したことの他にプラスの効果は見られなかったが、マイナスの影響のほうは次から次へと現れている。

(1)カダフィ政権崩壊後、長期にわたって抑圧されていた過激な宗教勢力が解き放たれ、政治の舞台で活発化した。宗教勢力の影響の拡大と急速な高まりに直面した暫定国民評議会の指導者は、憲法制定はイスラム経典に基づくべきだとし、カダフィが廃止した「一夫多妻」制の復活まで打ち出した。これは大きな波紋を呼んだ。リビアの絶対多数の女性とかなりの数の男性の反対を呼んだだけでなく、イスラム過激派を嫌う西側諸国に深い失望と憤りを抱かせ、リビアの反対派がカダフィを倒したのはいいが、西側諸国と相容れない宗教政権の誕生を助けてしまったと嘆く声が上がった。「暫定国民評議会」は、リビアで高まる宗教勢力の要求を満たす一方で恩人である西側諸国も怒らせないようにするために苦慮し、欧米諸国の不満を鎮めようと、「自分たちはイスラム穏健派で、過激な宗教勢力はリビアを代表するものではない」と急いで表明した。

道理からすると、人類社会が現代という段階に入れば、宗教の世俗政治に対する介入は大幅に弱まり、政教合一の政体は大多数の国で排除され、政教分離の政体が多くの国にとって唯一の選択になるはずである。しかしリビアでは歴史の潮流と符合しない言論と現象が現れた。これは、カダフィ政権打倒後、リビア政治再建が直面する局面の複雑さと挑戦の厳しさを反映している。「暫定国民評議会」にとって、リビア国民を導いて現代社会に合った憲法を制定し、政教分離の政体を樹立することは並大抵でない任務だ。似たような状況はエジプトとチュニジアでも起こっており、イスラム政党が選挙で躍進した。イエメンのイスラム過激派は武装闘争を繰り広げて当局と対決し、一部地域でイスラム首長国を樹立しさえした。これは西側諸国が最も望まなかったことであり、同時に予測だにしかなった事態でもあった。

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