米NBC記者:比較的良好な国際環境と貿易システムのおかげで、過去10年間は中国経済にとって最も急速な発展の時期となった。任期最終年にあたり、特に先日ボストンの国際港湾労働者協会から表彰されたことを考慮すると、中米経済・貿易関係に均衡を取り戻し、米国雇用を増やすために何か1つだけできるとしたら、何をするか。
温総理:先日私は米国の港湾労働者協会から「米国労働者のベストフレンド賞」を授与された。この賞は私に授与されたものというより、中米経済・貿易の互恵・ウィンウィンの1つの模範と言うべきだ。
何か1つの事で中米貿易の不均衡を緩和できるとしたら、私は何を選択するか。実はこれは私にとって、すでに長いこと深思熟考し、2009年と2011年の2回オバマ大統領ともじっくりと話し合った問題だ。中米貿易の不均衡、およびそれによる様々な困難や摩擦は、やはり協力を通じて解決すべきだ。そこで私は中米間の経済・貿易・金融・投資協力の促進に向けた包括的計画を割合に整った形で提出した。第1に、双方向貿易の一層の発展。中国は米国製品の輸入を拡大し、米国は自国製品の輸出規制を撤廃する。第2に、双方向投資の強化。両国は投資にプラスの環境を整え、投資を保護するべきだ。第3に、新エネルギー、新材料、省エネ、環境保護、航空、宇宙などハイテク分野の協力を強化し、新たな協力分野を切り開く。第4に、インフラ整備面の協力を強化し、これを金融協力と結びつける。中国は米国のインフラ整備に投資し、米国の労働者の雇用を増やすことを望んでいる。これは双方にとってプラスだ。
オバマ大統領は私の提案を非常に重視しており、すでに双方間で研究が行われている。協力は対立より良く、この正しい方向に沿って進みさえすれば、中米経済・貿易関係は健全かつ長期的な発展の道を歩むことができると信じている。
中国の貿易システム改革の問題に米国が関心を抱いている件についてだが、もう少し明確に言うなら、主に3つの問題を指す。第1に、輸出入の基本的均衡。明確に指摘できることだが、2011年に中国の経常収支の対GDP比はすでに3%という国際的に認められた合理的水準を下回る2.8%にまで下がっている。つまり国際収支と製品貿易の上では、中国はすでに基本的均衡を実現しているということだ。第2に、米国は為替相場にも注目している。2005年の為替制度改革以来、中国の実質実効為替レートはすでに30%上昇した。記者の方には、昨年9月以降、香港のノンデリバラブル・フォワード(NDF)市場で上下双方向の変動が始まっていることに注目してもらいたい。これは人民元相場がすでに均衡水準に近づいている可能性があることを示している。われわれは引き続き為替制度改革を強化する。特に割合に大幅な上下双方向の変動を実行する。第3に、われわれはドーハ・ラウンドの趣旨を堅持し、自由貿易を主張し、保護主義に反対していく。