今後の原発建設拡大
国家エネルギー局が国務院に提出した『原子力発電中長期発展調整計画』によると、2020年までの全国の原子力発電目標は8000万キロワットで、従来業界で一般的な見方だった6000万~7000万キロワットという水準を上回る。これは中国が原発推進に対し確固とした支持を表明したことを示すものだ。
建設中の広東省台山原発1号機 (新華社)
国家発展改革委員会が先ごろ発表した計画では、再生可能エネルギーの一次エネルギー消費に占める割合は2020年までに15%に達するとされている。しかし中国では、2011年の水力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電、バイオエネルギーなどを足しても、一次エネルギー消費の8.9%にすぎず、原発だけだと1.038%であった。この数字は15%という目標とは明らかに大きな隔たりがある。
中国工程院アカデミー会員で、放射線防護と環境保護の専門家である潘自強氏は、この差は主に原発を重点的に推進することで埋められると考えている。現在、中国の水力発電は開発すべきところはほとんど開発済みで開発の余地が小さく、風力エネルギーや太陽光エネルギー、バイオエネルギーなどは関連技術と自然条件による制約があって今のところ大規模推進の可能性が高くないからだ。他のクリーンエネルギーと比べると、現在のところ原子力エネルギーだけが大規模推進が可能なのである。そして中国の原発技術の進化と信頼性の向上も原発推進加速を保障している。
環境保護部の資料によれば、今後中国の原子力安全基準が上がる見通しだ。環境保護部が作成した『原子力安全計画』では、「原発安全性への監督管理強化、原発施設と原発利用の安全レベル向上、放射線環境安全リスク軽減、原発の稼動安全性・環境安全性・住民の健康の保障、原子力エネルギーと原子力技術利用事業の安全で健全かつ持続可能な発展の促進」が重点になっている。
中国は原子力安全監督管理機関についても大幅な調整を行い、監督管理力をいっそう強化している。調べたところでは、国家エネルギー局は原発司(「司」は局に相当)を新設し、国家原子力安全局はこれまで1つだった司を3つに増やし、原子力安全監督管理人員を1000人近く増員するという。また、国家国防科技工業局も原子力応急司を新設する。
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