曲探宙氏によると、「中国は北極圏で天然ガスなどの資源探査を行っておらず、また北極圏の天然ガス資源を開発利用する能力も条件もない。しかし、経済のグローバリゼーションという大きな背景の下では、いかなる地域、ひいてはいかなる国の資源も通貨や商品と同様に世界規模で流通し分配され、中国としか関係がないということはあり得ない」という。
欧州最大の貿易パートナー、北米第二の貿易パートナー、世界第二の貿易国、アジア第一の貿易国である中国は、間違いなく北極海航路の最大の潜在的使用国であり、また中国が使用するからこそ、同航路の開通も商業価値を持つことになる。
中国国際問題研究所の阮宗澤研究員によると、「今後北極海航路が開通し運営されるようになればアジアや欧州、北米の多くの国に影響を与えるが、中国はどちらかと言えばその影響をフォローするほうに回ることが多く、適宜参画するにとどまるだろう。北極海航路は世界の共有財産であり、一国が主導できるものではない」としている。
『産経新聞』は、「中国の北欧諸国への投資は中国の補給基地建設のためであり、気が付いたときには海洋調査船だけでなく海軍艦艇が頻繁に寄港するようなことになっているかもしれない」といった主旨の根も葉もない指摘をしている。
かつてアイスランドの土地購入と投資を計画したことのある民間企業、中坤投資集団の黄怒波董事長は、日本メディアの指摘は「まったく馬鹿げた悪ふざけだ」とし、さらに「貿易保護主義が広がり西側経済が低迷する今、先進国の中国企業の海外投資に対する考え方は『ポスト冷戦思考』に満ちている」と指摘する。
長い間、中国は英、仏、独、イタリアなど欧州主要国と緊密な貿易関係を築いてきたが、それと比べると北欧諸国との貿易は停滞している。これは明らかに中国と欧州全体との関係の現状にそぐわない。
阮宗澤氏は言う。「中国は欧州と全面的戦略パートナー関係を結んでおり、北欧諸国を含む欧州への貿易投資拡大は当然のことだし、そうしなければならない。北欧諸国のほうも今、中国を理解し、中国を知り、中国との関係を発展させることを切望している。中国の北欧での正常な商業投資活動と北極の戦略支配とを関連づけようとするのは、まったくもって狂想的な考えだ。北極圏に属さない中国には、北極圏における特殊な利益はない」。(ソース:新華網)
「北京週報日本語版」2012年2月3日
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