中国政府関係者と政府系の学者は31日、再び台頭してきた国際世論の非難に反論し、「中国が北極圏で行っている活動は完全に通常の環境科学調査と商業投資の目的によるもので、資源目当てや戦略支配といった計略とはなんら関係ない」とした。
日本の『産経新聞』は28日付記事で「中国が北極海進出を虎視眈々と狙っている」と非難し、「中国は科学調査の名目で北極地域の地質探査を行っているが、その企図するところは豊富な天然ガス資源を略奪し、北欧諸国への投資を通じて北極戦略拠点を建設し、氷河融解後のアジアと欧州を結ぶ北極海航路の主導権を支配することだ」という主旨の指摘を行った。
中国国家海洋局極地考察弁公室主任の曲探宙氏は、「主観と憶測に満ちたこの報道は、北極圏諸国と中国との間に邪推と離間を生み、中国の正常な活動に干渉しようとするものにほかならない」と述べた。
北半球で最大の面積を持つ国である中国は、北極圏の気候・環境変化の影響を直接的かつ急激に被る。曲探宙氏は「世界が気候変動対応に注目する中で、中国が北極の科学調査に取り組み、強化するのは非常に自然なことだ」と語る。
中国の北極科学調査は、北極圏の海・氷・大気間の相互作用、北極海氷変化のメカニズムと世界の気候変動への影響、北極圏の気候変動・生態環境変化の動向と中国の気候・環境への影響などを重点的に研究している。
「こうした問題への注目と研究は中国の経済社会発展に関わっているだけでなく、実は世界の気候変動、特に北極圏の急激な変化に対する人々の科学的認知と理解を深める上でも貢献している」と曲探宙氏は述べる。
中国の北極科学調査は1990年代後期にようやく始まり、米やロ、英、仏、加、日など多くの国に遅れを取っている。中国政府が初の北極圏一部海域総合調査を組織したのは1999年。その後、2003年、2008年、2010年の計3回にわたって北極圏一部海域の科学調査を行い、その調査内容は物理海洋学、海洋生物学、海洋化学などに及んだ。
「これらの調査には米国やロシア、日本、韓国、フィンランド、フランスなどの科学者も参加しており、調査の全過程は完全に公開された透明なものだった」と曲探宙氏は言う。
『スピッツベルゲンに関する条約』の締結国である中国にはノルウェーのスヴァールバル諸島海域で科学調査を行う権利がある。2004年、ノルウェー政府の許可を受けて、中国は同地域に北極科学調査拠点「黄河ステーション」を建設し、高空大気物理、氷河観測、生態環境、微生物、大気化学などの研究と調査を行っている。これに先立って、日本やドイツ、フランス、英国、イタリア、韓国などが同諸島のニーオルソン地区に探査基地を建設している。
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