◆ターニングポイントではない
現時点で見れば、インフレはすでにマクロ経済の主要リスクではないが、中国が直面するインフレ圧力は依然として大きい、というのが業界専門家の大方の見解だ。「CPIが暫定的に緩和されるのは、中国経済の減速と一定の関係があり、中国のインフレ型経済はやはり変わっていない」とした上で、中国人民大学経済学院の鄭超愚教授は[CPIが数カ月低下したとはいえ、決してインフラがターニングポイント迎えたことを意味するものではない]と強調する
中央財経大学証券先物研究所の賀強所長は、今は、野菜などの農産品が冬の極端に厳しい気象の影響や春節(旧正月)の消費需要による物価の反発を見続けていく必要があると指摘。中長期的には、物価を押し上げる要因は依然存在していると言う。例えば、人口構造の転換がもたらす労働力コストの上昇、価格改革による資源関連製品の値上げ、都市化の進展に伴う土地面積の減少などが物価を上昇させている。
商務部が重点的に監視している食用農産品価格、農業部監視の農産品小売価格、国家統計局の監視の下にある「50都市の主要食品平均価格の変動状況」のデータによれば、11年12月の食品価格は総体的に小幅な上昇にとどまった。
前年に比べると4.1%まで低下しているが、全国平均は5.4%と、政府が年初に設定した4%の目標を大幅に上回った。そのため賀所長は「インフレ圧力と別れを告げたとは言えない」と指摘する。
中国外貨投資院の譚雅玲院長は「CPI関連の数字はやや低下しているが、やはり軽視することはできない。先ず、庶民は物価が下がったとは実感していない。次に、インフレの基礎的要因は投機であり、現在、市場での投資や投機はいずれも減速、下降状態にあるため、CPIの適度な調整は第一に市場の動きが関係する」と分析する。
中国社会科学院数量経済・技術経済研究所の汪同三所長は「欧米の量的緩和や、コストの押し上げや通貨が比較的多く出回っていることから、国内でインフレが今年再燃する可能性は確かにある。中央銀行は11年に穏健な通貨政策を講じたものの、通貨の加速度的な増大にブレーキがかかっただけで、比較的多くの通貨が市場に残っているため、物価に一定の圧力がかかっている。今後、ある程度の時間をかけて徐々に緩和していくことが必要だ」と話す。
復旦大学経済学院の孫立堅副院長も懸念を示す。「欧州の債務危機が安定し、パニックの連鎖が徐々に収まれば、世界が欧州債務危機支援のため投入していた資金が再び市場に流れ出る。市場で大口商品が投機的に売買されて高騰した価格がインフレを再度、呼び起こすだろう」
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