●老職人にようやく後継者が
青岩古鎮に着いたとたん、いかにも古びた民居に引きつけられてしまいました。青瓦の木造建物、鎮の奥深くまで延びる青石の道はまさに、繁栄隆盛の時代の変遷の生き証人と言えるでしょう。

新春を祝って伝承600年余の功夫酥を作る石さん父子
新年にもかかわらず、古鎮は各地から訪れた観光客でごった返ししていました。人ごみに押されながら、気がついたら、南街にある「功夫酥」という小さなお店の前まで来ていました。「功夫酥」や「玫瑰糖」「牛皮糖」と呼ばれるお菓子を提供するお店。鎮全体に商業的な雰囲気が色濃く漂うなかで、ここは格別。なぜでしょう。店の周りにいつでも甘い香りが漂い、すべて手づくりだからです。店主の石さんによると、この技術はすでに数百年も伝承されているそうです。人びとがこの特製のお菓子を好み、家族が祖先の技術を大切にしてきたからこそ、今に伝わっているのです。古鎮ではこのような純粋の手づくり非常に少なくなっており、現在残っているのは、先祖からの技術を伝承し、発揚してきたからだと老人は言います。青岩の観光開発が進むに伴い、この古くからの手づくりのお菓子は家族の主要な収入源になっています。
祖先から伝わるこの技術のおかげで一家は衣食の心配をする必要はありませんが、50を過ぎた石さんは昨年、やはり伝承のことで頭を悩ませていました。
「生活はますます良くなってきました。考えているのですが、私が百歳になった後も息子が私の技術をしっかりと継いでいてくれれば、祖先からの古い技術は世代を越えて伝わっていくでしょう」。2人の息子さんは自分の将来にそれぞれ考えがあり、若いうちに外の世界で生活したいと考えているようなので、人それぞれに志があるので、無理強いはしないことにしたそうです。ところが今年の春節前、広州に出稼ぎに行っていた下の息子さんが帰郷し、鎮に残って父の手助けをすると申し出ました。祖先から残る古い技術に新しい後継者ができたことを思うと、気持ちは目の前にある玫瑰糖を食べるよりずっと甘い、と石さんは満足げでした。
話を終えて立ち去ろうとすると、傍にいた息子さんがかごから玫瑰糖と功夫酥をいくつか取り出して両手で渡してくれました。「食べてください、僕の手づくりです。記念に」。小さな店の純朴で善良な父子を眺め、父子の手づくりの玫瑰糖を食べていると、古鎮の一家が手で、心でつくり上げた甘い生活をはっきりと肌で感じることができました。
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