残された問題
今回の会議は世界的金融危機の後に開催され、中国金融業は国内外のリスクが混在する転換期にある。不確定要素に満ちた経済状況において、改革はリスクの解消と経済の安定・発展を目指すための重要手段である。
しかしこれまでの数回の会議とは違い、今回の会議では金融改革に関する決定はそれほど多くなかった。これより前にメディアで騒がれた財政部と中央匯金公司で「金融国有資産管理委員会」を作るという構想も討議されていない。
世界金融危機の際、銀行業が中国政府のために打ち出した経済刺激計画で大量の資金が貸し出され、中国経済の回復を支えたが、その一方で資本抑制も国内銀行業が海外市場動揺の影響を回避するのに役立った。しかし、中国の銀行システムの問題も顕在化しつつあり、特に地方債リスクはすでに政府高層から重視されている。また、現行の体系下では銀行業は国有企業や非私営分野を好み、この体系が中国経済発展の長期的利益に適っているとは限らないことを国の主管部門も日増しに意識するようになっている。
趙錫軍副院長によると、これらのリスクを解消するにはさらなる改革が必要だが、そうした改革は現行体系下で力を持つ既得権者の反対に遭うだろう。この既得権者には、比較的低金利で銀行から融資を受けてきた大型国有企業も含まれる。しかも改革によって各監督管理部門間の利益争奪戦が生じる可能性もある。
このほか、中国の金融分野には「金融機関経営方式が総じて粗放的」、「コーポレートガバナンスとリスク管理に問題がある」、「農村金融と中小金融機関の発展が相対的に遅れている」、「金融監督管理力を高めなければならない」、「貸付政策と産業政策がまだ密接に連携しておらず、実体経済への貢献が遅い上に不足している」など、早急に最適化すべき点がまだ残っている。これらの問題の解決は次回の全国金融工作会議まで待たなければならないだろう。
「北京週報日本語版」2012年1月21日 |