八大措置
金融の実体経済への貢献を堅持するための要はどこにあるのか?温家宝総理が今後の金融改革について取った八大措置を詳細に分析すれば、答えを見つけるのは難しくない。
(1)経済社会発展のため、さらに多くの良質な金融サービスを提供する。金融業界はサービス機能を高め、サービスが及ぶ範囲を拡大し、弱い分野に対する金融支援を強化する必要がある。経済構造調整、省エネ・排出削減、環境保護、自主革新を重点的にサポートし、特に農村の金融サービス不足、小型・超小型企業の資金調達難といった問題の解決を急ぐ。
(2)金融機関改革を深化させる。コーポレートガバナンスを強化し、効果的な施策決定・抑制均衡メカニズムを作り、規範的で有効な奨励・制約メカニズムを構築する。株主権の多元化を推進し、独占状態を確実に打破し、参入基準を緩和し、民間資本の金融サービス分野流入と銀行や証券、保険など金融機関制度改革と増資への参加を奨励し導くと同時に規範化する。政策金融機関は政策業務主体であることを堅持し、政策業務と自営業務を明確に区分し、別帳簿管理と独立採算を実行する。国家開発銀行は商業化改革を堅持し深化させていく。
(3)金融の監督管理を強化・改善し、システム上の金融リスクをしっかりと防ぐ。銀行業は周到かつ慎重なリスク管理体系を構築する。証券業は市場制度を整備し、行為に対する監督管理を強化し、投資家の合法的権益を保護する。保険業は支払能力の監督管理を強化し、分類監督管理制度を整備する。
(4)地方政府の債務リスクを防止・解消する。現在、中国政府の債務は総じて安全でコントロールが可能である。総合的な施策を取り、表面に現れた現象とともに根本原因も解決し、債務残高を適切に処理し、地方政府の借金による資金調達というメカニズムを規範化し、地方政府の債務収支を予算管理対象とし、地方政府債務の規模抑制・リスク警告メカニズムを構築する。
(5)資本市場と保険市場の構築を強化し、金融市場との協調的発展を推進する。株式先物市場の安定的かつ健全な発展を促進し、各種取引場所を断固として整理し、規範化され統一化された債券市場を作り、保険市場を積極的に育成する。
(6)金融マクロコントロール体系を整備し、通貨政策と財政政策、監督管理政策、産業政策間の協調を強化し、経済発展と金融安定を効果的に促進する。人民元レート決定メカニズムをさらに最適化する。
(7)金融の対外開放を拡大し、資源配置力と金融安全保障水準を高める。人民元資本項目の為替取引開始を穏当かつ秩序よく推進し、外貨準備経営管理水準を高める。大陸部と香港・澳門・台湾地区との金融協力を深化させ、香港の国際金融センターとしての地位固めとさらなる地位向上を支援する。上海国際金融センターの建設を加速する。世界の経済金融管理に積極的に参画する。
(8)金融インフラ建設を強化し、金融発展環境を改善する。金融関連法律法規の制定と最適化を加速し、統一された金融業信用情報収集プラットフォームを構築し、支払や決済など金融インフラを整備し、消費者権益保護を強化する。
中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇主任は、「会議は金融の核心が実体経済への貢献であることを強調したと同時に、中国が今後しばらくの間既存体制の最適化、特に監督管理メカニズムと協調メカニズムの最適化をいっそう重視することを示した」と指摘した。
リスクがコントロール可能であるという前提のもとで、いかにして金融業の運営効率とサービスレベルをさらに高めるのか。これは大きなポイントである。郭田勇主任は次のように述べている。「今後しばらくの間の金融施策手配から考えて、まずは金融業のサービス効率を高め、参入条件を緩和するなど民間資本の金融分野参入ハードルをさらに引き下げ、民間資本の金融サービス分野参入や銀行、証券、保険など金融機関制度改革への参画を奨励し導くと同時に規範化することが必要だ。その一方で、金融業が実体経済を離れて問題を生じることを防ぐべきである」。
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