本誌記者 蘭辛珍
米国ウォール街の資産経済の氾濫と、それによりもたらされた金融危機などの深刻な影響は、中国の金融業発展の上で戒めとすべき反面教師となった。1月6~7日に開催された全国金融工作会議で、温家宝国務院総理は「実体経済への貢献という金融に対する本質的要求を堅持し、資金が確実に実体経済に流れるようにし、社会資本が実体から離れて虚体へと向かいマネーゲームとなるのを断固として抑制し、資産経済が過度に資産経済内だけで自己循環し膨張するのを防ぐべきである」と特に強調した。
金融業の資産経済化傾向について、中国のトップが警告を発したり要求を打ち出したりするのはこれが初めてである。この警告の最も直接的な役割は、中国金融業に米国金融業のような危機が発生するのを防ぐことだ。2008年に米国金融業で起きた危機は今もなお去っておらず、世界経済発展に極めて大きな損害を及ぼしている。
全国金融工作会議は中国の最高レベルの金融会議で、5年に1度開催されるのが慣例だ。これまで1997年、2002年末、2007年初めの計3回が開催されており、毎回次段階の中国金融改革政策と方向の基調を決定し、金融改革とそれに付随する機関改革など重大措置を打ち出してきた。
今回は4回目の開催となるが、現在中国金融体系が直面している国際・国内情勢はこれまでの3回とは大きく異なっている。国際情勢では、今年欧州債務危機が大幅に悪化する可能性は比較的小さいものの、短期間内での根本的解決は難しく、マイナス情報が絶えず伝わってくることが考えられ、中国の金融機関は外部リスクをシャットアウトする必要がある。国内情勢では、今年中国経済は地方融資プラットフォームの一部債務不履行、不動産価格バブルの一部崩壊、外部需要の急激な萎縮、短期資本流動の大幅変動など、大きなリスクに直面することが予想され、これらを事前に防止しなければならない。そのため、今回の金融工作会議は業界関係者から「ポスト危機時代の危機回避」と位置づけられ、金融の安定とリスク回避が今回の全国金融工作会議の最優先課題となった。
10月8日、各種金融機関商品を集めた「金融スーパー」で話し合う江蘇省南通市の企業経営者と請負会社スタッフ (新華社)
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