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米国のアジア太平洋「回帰」と中米連携

 

アジア太平洋「回帰」の理由

オバマ政権のアジア太平洋重視には、大統領本人にアジア太平洋での経歴があるという事情のほかに、米国が経済的にアジア太平洋地域に頼っているという主要原因がある。2009年はオバマ政権発足初年度であり、米国の金融危機対応と戦略的苦境脱出にとってキーとなる年でもあった。新しい政権になり、新しい選択をしても、なお米国が苦境から脱出できないとなれば、米国人がいっそうの失望を感じることは明らかだ。そのため2009年は米国にとって非常に重要な年だった。そしてその当時、発展と苦境脱出のチャンスがあるように見えたのは世界中でアジア太平洋地域だけだった。米国にとってアジア太平洋は多くの商品の生産地であり、債権購入者の集中する地域でもあった。しかも、数億の人口がいわゆる「中産階級」に入ろうとしている地域は世界でアジア太平洋のほかにはない。これほど巨大な消費市場と消費潜在力を放棄することは、米国にはどうしてもできなかった。オバマ政権がアジア太平洋の重要性を繰り返し強調するのは、経済的な側面を重視してのことである。

6月25日、米国ハワイ・ホノルルで会談した中国外交部の崔天凱副部長(右)と米国のキャンベル国務次官補 (張軍撮影)

政治的に見てみると、政権発足当初から「東南アジア回帰」を声高に主張して、前任者との違いや「チェンジ」を目指していることを見せることが重要だった。アジア太平洋地域はジョージ・W・ブッシュ政権の外交で唯一優れた点だと見なされていたが、それでも民主党主義者は非難する余地があると考えていた。東南アジア諸国はジョージ・W・ブッシュ政権期間に米国がこの地域を軽視したことを不満に感じており、これが民主党主義者にアジア太平洋地域で前政権より優れていることを見せる機会を提供することになった。こうした事情があったからこそ、オバマ政権のいわゆる「アジア太平洋回帰」、「アジア回帰」はつまるところ「東南アジア回帰」から始まったのである。当然ながら、東南アジアで成果をあげた米国が、その足どりをマレー半島や中南半島(インドシナ半島)にとどめるはずはなかった。天安号哨戒艦沈没事件から中国南海問題、釣魚島船舶衝突から延坪島砲撃事件に至るまで、米国は東南アジアを起点としてアジアでの戦略配置を全面的に展開した。

当然のことながら、米国のアジア太平洋戦略再考に中国要因が影響を及ぼさないはずはない。中国がアジア太平洋地域で成果をあげたことは、米国がアジア太平洋地域での影響力低下と戦略調整の必要性を説く上での絶好の根拠となった。しかし、中国を参考対象としたことは米国がすでに中国をライバル視していることと等しくない。2008~2009年の中米関係とオバマ政権の中国に対するポジショニングから見て、米国は中国をライバルや脅威、あるいは敵と見ているわけではなく、チャンスまたは協力可能なパートナーと見なしている。そのため、米国のアジア太平洋戦略調整には中国に対する防備や警戒の一面はあるものの、中国への対抗措置だと単純に括ることもできない。そんなことをすれば、地域情勢を偏って理解し、米中の対立を誇大化し、最終的に中国やアジア太平洋、ひいては外交政策全体にまで悪影響が出るだろう。

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