外部環境改善は朝鮮自身の安定と発展に有利
もちろん、朝鮮は地理関係による政治・国際関係上のあつれきの渦中にある国であり、外部環境が国内政治と経済発展に与える影響も無視できない。
冷戦後の国際関係構造大調整期に、その調整がもたらす危害を避けているうちに、朝鮮は知らず知らずのうちに、あるいは自分ではいかんともしがたいうちに安全保障面で苦境に陥ってしまった。この局面を招いた主要要因は「朝鮮核問題」である。
12月20日、ピョンヤン万寿台の金日成像の前で、金正日総書記の死去を悼むピョンヤン市民(張利撮影)
朝鮮は1980年代中期、朝鮮経済がまだ強かった状況下で大がかりな原子力発電計画を打ち出していた。朝鮮はそのために核兵器不拡散条約に参加したが、関連安全協定は締結しなかった。これが朝鮮と米国間で核問題上の矛盾を引き起こす引き金となった。
実のところ、朝鮮・韓国間は1990年代初めに和解ムードが高まり、双方間で首脳会談が実現、『南北間の和解と不可侵および交流・協力に関する合意書』と『朝鮮半島非核化共同宣言』が締結された。この和解ムードは米国と東アジア間の冷え込んだ関係と対照的であった。米国は当時フィリピン軍事基地の撤退を余儀なくされていただけでなく、日本や韓国でも地域主義と和平主義の圧力に直面していた。そのため米国は朝韓双方主導で半島の未来を決定することに我慢がならなかった。こうして「朝鮮核問題」が米国の半島情勢介入と主導のテコとなったのである。
朝米間の核問題をめぐるパワーゲームはますます激化し、情勢は緩和に向かうように見えてそのたびに解決とは反対の方向に進み、かえってヒートアップしていった。2005年、朝鮮核問題に関する六カ国協議はついに『9.19共同声明』を発表するに至り、核問題に解決の兆しが見えたかのように思えた。しかし思いがけないことに、数カ月後朝鮮は核実験を行った。朝鮮はその行為をブッシュ政権の朝鮮抹殺・先制政策の見返りだと説明することはできても、その行為によってもたらされる結果を避けることはできなかった。1つは米国に核問題上で朝鮮を「悪の枢軸」扱いする確かな証拠を与えてしまったこと、もう1つは韓国の保守勢力の台頭である。この後、韓国の保守勢力が政権を取り、朝韓関係が悪化したため、朝鮮は2度の核実験を実施、哨戒船「天安号」沈没事件や延平島砲撃事件が発生し、半島情勢は完全に硬直化してしまった。これにより朝鮮の経済発展は、外部からさらに障害を設けられることになった。
今年、六カ国協議の再開問題で朝鮮が積極的な姿勢が見せたのは喜ばしいことだ。もともと12月22日に朝米は第3回会談を行う予定で、朝鮮は非核化準備措置の受け入れについて積極的立場を示したという報道もあった。さらには、第3回対話で朝鮮はプルトニウム濃縮プロジェクト一時停止に関する国際原子力機関(IAEA)調査団調査受入などの問題について米国と合意に至る可能性が高いとする分析すらあった。
今のところ、朝米会談は延期せざるを得ない状況にある。しかしそれが前進しつつある会談に影響することはないだろう。それと同時に、関連方面がこのまたとない歴史的チャンスをつかむことが望まれている。
「北京週報日本語版」2012年1月4日 |