【特徴3】
国際戦略構造の均衡化により、新興大国と西側大国という2大陣営間の競争が生まれた。新興大国の経済成長率は西側大国の数倍にもあたり、世界のGDPに占める割合は着実に拡大したが、西側大国のほうは複合型経済社会危機に陥り、主導的地位が低下した。西側大国と新興大国とのパワーゲームではどちらかが強くなれば一方が弱くなる。そのためどちらの陣営も形勢を有利に運ぶべく戦略の転換を始めることとなった。
G8とNATO(北大西洋条約機構)を基盤とした西側大国と、「BRICS」と「BASIC」を基盤とした新興大国という2大陣営は、次の3つの議題をめぐって激しい駆け引きを展開し、対立している。(1)中東・北アフリカの変局。「BRICS」は国家主権の擁護と内政不干渉を堅持しているが、欧米は国連安全保障理事会決議第1973号を濫用し、過度に武力を行使してリビア内戦に介入し、「保護責任」と「人権は国家主権より重い」という考えを振りかざして「新中東」の主導を目論んでいる。(2)IMF新専務理事の人選と増資。西側は主導的な立場を維持しようとしたが、BRICSは共同で世界経済管理における発言権を拡大した。(3)気候変動対応。「BASIC」は『京都議定書』の延長と先進国の「第二約束期間」排出削減目標履行を主張したが、先進国はその責任を極力回避しようとしている。
2012年の展望:
2大陣営の競争が多くの面で展開され、新興大国は共同で西側大国の経済危機対外転嫁を防ぐことになるだろう。
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