現代のライフスタイルに脅かされる土楼文化
数百年の歳月を経た今もなお山々の間に立ち続ける福建土楼は、世界の貴重な文化遺産となった。しかし現代化が進み、都市だけでなく農村も進歩を遂げるにつれて、土楼も生存の危機に直面するようになっている。
まず、多くの世帯が入り口を接してまとまって生活し、部屋の中に衛生設備のない土楼の生活方式が、独立を求める現代の若者の生活観念やライフスタイルに脅かされている。土楼の周辺でもかなり前から土楼以外の建物が増え、レンガとセメントで建てられた一般住宅様式が見られるようになり、こうした生活スタイルを追求するのが主流になった。
次に、土楼建造方式の伝承が現代的大量生産に脅かされている。伝統的な土楼建造技術は複雑で、時間も長くかかる。土楼の基礎は土を押し固めて作った土壁ブロックで、これは通常奥行きが1.3~1.5メートル、高さは40~50センチ、幅は90センチ前後ある。現地にある砂や土、粘土などを混ぜて突き固めて作り、この土壁ブロックの間に木材や竹などを入れて強度を増す。壁を築く時に煙道を壁の中に埋め込んでしまうため、土楼内には煙突が見当たらない。また、土楼には巧みな建築装飾技術が用いられている。「土楼王子」と呼ばれる振成楼は、中国式の琉璃瓦、木刻の扉や窓、暗渠式の下水道などを採用して建てられ、錬鉄の装飾手すりや演劇舞台の桟敷席など西洋式の手法も取り入れており、中国と西洋の様式を一体化させたすばらしい造りである。当然ながら、土楼の建造には多くの資金がかかる。
二宜楼の中でくつろぐ住民たち (姜克紅撮影)
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