政策の方向性
2012年にマクロ経済政策の重大調整を行う必要があるかどうかは、人々が関心を寄せ、議論の的にもなっている問題だ。青書では、中国はなおも積極的な財政政策と穏健な通貨政策を堅持しなければならないとの見方が示されている。
陳佳貴氏によると、青書の研究討論に加わった専門家や学者たちの中国経済政策に対する見方は割合肯定的で、財政政策面で中国はまさに構造調整期にあり、債務残高の対GDP比もまだコントロール可能な範囲内に収まっており、経済面で積極的な財政政策を実行することは情勢からして必要なことだとしている。
しかし、赤字規模と債務残高規模を厳格にコントロールすることが必要である。特に地方債務に対する監督管理を強化し、「イメージプロジェクト」(幹部が自分の政治業績を目立たせるために行うプロジェクト)や派手な無駄遣いをなくし、駆け込み予算消化の現象が起きるのを回避しなければならない。同時に、財政支出構造を最適化し、国民生活改善と経済構造調整における財政政策の役割をよりいっそう発揮するべきだ。また、構造的減税の歩調を速め、企業の負担を軽減し、小型・超小型企業を支援する財政措置を拡大し、小型・超小型企業の急成長を促進しなければならない。
中国社会科学院数量経済・技術経済研究所の李雪松副所長は、次のような考えを示している。①2012年の国際経済環境はさらに厳しいものとなり、特に欧米債務問題については即効性ある解決方法が見つかっていない。②国内のインフレ圧力は緩和傾向に向かうものの、なおも一定の不確定性が存在する。③2012年は、経済の安定成長を保ち経済成長の大幅な変動を防ぐために、積極的な財政政策と穏健な通貨政策を引き続き実施し、適時・適度に微調整と事前調整を行う必要がある。④同時に、インフレ圧力低下の機会をしっかりと捉え、経済構造調整と経済発展モデルの転換を着実に加速する。
李雪松氏によると、2012年の中国経済政策の方向性には3つの重点があるという。1つは、積極的な財政政策を引き続き実施し、構造的減税にいっそう力を入れることである。「サービス業の発展を制約している営業税重複徴収問題の解決を急ぎ、戦略的新興産業発展を促進する財税政策の推進を加速するべきだ」。
2つめは、穏健な通貨政策を引き続き実施し、通貨・クレジットと流動性がニュートラルな状態に戻るよう促すことだ。「適時・適度な事前調整と微調整という政策は実際にはすでに始まっており、預金準備率がすでに引き下げられている」と李雪松氏は語る。
3つめは、インフレ圧力低下の機会をしっかりととらえ、経済の安定成長を保つと同時に資源要素価格改革を深化させ、経済構造の戦略的調整と経済発展モデルの転換を加速することである。李雪松氏は、「2011年に打ち出された各産業の『十二五』計画(第12次五カ年計画)から、今後中国経済政策が調整経済構造の加速をいっそう重視し、戦略的新興産業の発展を推進することが見て取れる」と述べている。
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