中国経済は依然として世界経済成長における注目点であり、構造調整の推進に伴って、その成長の質はますます高まっていくだろう。
本誌記者 蘭辛珍
2012年、中国のGDPは8.9%前後の成長率を維持する。これは中国社会科学院が12月7日に発表した『経済青書』の予測データである。この成長率は2011年よりは低いものの、それでも明らかに高い部類に入る。
中国社会科学院経済学部主任の陳佳貴研究員によると、中国の経済成長は適度に減速しながら次第に安定に向かうという。改革の深化、インフレの抑制、構造調整の実施、経済発展モデルの転換に向けて良好なマクロ環境を作り出すには、成長率は8~9%の間が最も望ましい。
この2年間、中国の経済成長は減速が続いたため、国内外に中国経済は硬着陸するのではないかとの懸念が見られるようになったが、こうした懸念は明らかに余計であり、中国経済はこれからも引き続き世界経済回復に貢献するだろう。
中国が直面する情勢
青書では、2012年に中国経済が直面する情勢は2011年と大きく変わると見ている。2011年、中国が直面したのは主に急激な物価上昇による圧力であったため、インフレ抑制がマクロ調整の主要任務となった。2012年は、経済成長の適度な減速をベースに、経済成長スピードの安定とインフレ抑制の両方が必要になり、同時に経済構造調整にも力を入れる必要がある。
陳佳貴主任は、「2011年の努力の結果、物価急上昇の勢いはある程度抑制されたが、物価急上昇の主な要因はまだ大きな変化が見られない」と言う。現在、中国の物価総水準は需給関係の影響を受けるとともにコスト上昇にも影響されており、PPI(生産者物価指数)は需給関係の影響が大きく、CPI(消費者物価指数)はコスト上昇促進要因の影響が大きい。従って、2012年もインフレ対策を疎かにすることはできない。
青書によると、2012年の消費者物価はゆっくりとした上昇傾向を示し、国際石油価格上昇の不確定性と国内資源要素の価格改革圧力の高まりを鑑みると、年間の消費者物価指数は4%前後上昇することが見込まれる。
中国社会科学院の李揚副院長は、「世界経済の低迷は来年から5~10年、ひいてはさらに長期間にわたって続くかもしれず、『成長維持』は世界共通の課題になる」と考える。
このような国際環境の下では、中国だけが影響を受けずにいることは難しい。李揚氏は「世界的に低迷する経済情勢の中国に対する影響は、まず対外貿易から始まる」と言う。2011年の貿易黒字対GDP比は3%以下と見られるが、これまで最高だった時には6%を超えていた。李揚氏はさらに「G20ソウル・サミットで、19カ国は中国に貿易黒字を対GDP比4%以下まで下げると約束するよう迫ったが、当時中国は確信が持てず約束はしなかった。しかしその後情勢が変わり、現在ではすでに3%以下まで下がっている。3%前後の貿易黒字対GDP比はおそらく長期的趨勢ではないかと見られる」と語る。
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