日本舞踊の普及に努める
藤間万恵氏は2010年9月から2011年7月にかけ、日本の文化庁から中国に派遣され、文化交流使として日本の伝統芸能である日本舞踊の普及に努めていた。中国に来ることが決まったいきさつについて、藤間氏は次のように語った。「歴代の交流使の先生方が圧倒的に欧米に行っているが、欧米と違い韓国、中国は日本の芸能、文化の発祥に大きく影響を与えた国だ。この2国のうちで今まで比較的交流の少ない中国に決めた」。
藤間万恵氏が演じる創作舞踊「曙光」
文化交流使としての1年余りの間、藤間氏は北京を拠点に中国各地で大学を中心にした普及活動を行い、日本舞踊の魅力や日本文化を積極的に紹介してきた。活動を通じて一番心に残る出来事について、藤間氏は次のように語った。「日本の言語や文化に興味を持つ中国人の方は大勢いる。日本の芸能は中国の芸能の影響があって出来たものが多く、それは日本では今もなお形を変え伝承されているが、本家本元の中国では途絶えてしまっているものが多い。日本の芸能にもう一度触れていただくことで、中国の古来の芸能に思いをはせていただくことが出来ればと思い、活動をしている」。
「英執着獅子」の姫を演じる中国人学生の雷国悦さん
「生け花、茶道などは一般の方に体験してもらう事が出来ない。でも日本舞踊なら、その場ですぐ立ってお扇子を持ち稽古のまねごとをする事が出来る」と藤間氏は言う。中国人の生徒や観衆の反応について、藤間氏は次のように語った。「日本人より中国の皆さんはとにかく踊りが大好き!『皆さん、それではちょっとやってみましょう!』と言って、躊躇された事は一度もない。大人も子供も男性も女性も日本に興味ある人も無い人もみんな、我れ先にと率先して前に出てくる」。
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