姜志達(中国国際問題研究所アシスタント研究員)
2011年は中国とASEAN(東南アジア諸国連合)の対話関係成立20周年にあたる。この20年間で、中国はASEAN域外の大国の中で最初に『東南アジア友好協力条約』に加盟し、最初にASEANと戦略的パートナー関係を築き、最初にASEANと自由貿易協定を設け、他にさきがけて『東南アジア非核武器地帯条約』議定書に署名し、双方は安全保障領域、とりわけ従来領域以外の安全領域における協力で著しい成果を上げた。
2011年11月18日、温家宝国務院総理はASEAN諸国首脳らと共にインドネシア・バリ島で行われた中国・ASEANセンター除幕式に出席した。右はインドネシアのユドヨノ大統領 (王曄撮影)
中国とASEANがこれほどまでに大きな成果を成し遂げたのは、双方が新しい時代条件の下で相互信頼と相互利益を目指して協力してきた結果である。そのうち、双方の関係発展推進の中心となってきた最も注目すべき分野は、経済貿易協力である。
目覚しい成果
(1)貿易総量が増え続けている。中国とASEAN間の貿易はこれまで20年間で年平均20%以上という速さで勢いよく成長してきた。1991年の中国とASEAN間の貿易額は79億6000万ドルだったが、2010年には2928億ドルに達した。2011年1~10月の貿易額は同期比25.7%増の2959億ドルに達し、年間貿易額は3500億ドルを超える見通しだ。これは1991年の40倍余りにあたる。また、中国・ASEAN双方の貿易パートナーとしての地位が高まっている。中国の貿易総額に占める中国・ASEAN間貿易額の割合は1991年の5.9%から2010年の9.8%まで上がった。現在、中国はすでにASEAN第一の貿易パートナーとなり、ASEANは中国の第三の貿易パートナーとなっている。
(2)双方向投資が拡大している。ASEAN諸国は中国の重要な投資先であり、中国企業が「走出去」(海外進出)する際に先ず選ぶ地域の1つでもある。中国側の呼びかけにより、中国・ASEAN投資協力基金、中国・ASEAN銀行業連合が相次いで設立され、重要な投融資協力の場となっている。2010年のASEANの対中国直接投資は同期比35.2%増の63億2000万ドル、中国の対ASEAN直接投資は同期比12%増の25億7000万ドルで、2010年の対EU直接投資21億3000万ドルを上回った。中国は現在、ミャンマー、カンボジア、ラオスにとっての最大の外資供給元であり、タイやインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ブルネイでの投資額も各投資先国で上位に入る。中国企業のASEAN諸国への投資を継続的に拡大するために、中国政府はASEAN各国に経済貿易協力区を作り、産業クラスター投資を通じて双方の経済貿易協力レベルを向上し、先進的で適用できる技術の移転にさらに力を入れ、ASEAN諸国の産業競争力を高めていくことを約束した。
(3)中国ASEAN自由貿易協定(ACFTA)が全面的に完成した。2010年1月1日に成立したACFTAは中国とASEANの経済貿易協力における最も重要な措置であり成果である。ACFTAは中国の国際貿易における最初の自由貿易協定で、19億の人口、6兆ドルのGDP、4兆5000億ドルの貿易総額と4兆ドル近い外貨準備高を有する、世界最大の自由貿易協定の1つである。自由貿易協定の成立は、中国とASEAN各国の貿易投資成長を促進し、経済融合を深め、企業や国民に利益をもたらし、互恵・WINWIN、共同発展という目標を実現した。また2011年には、ACFTA枠組み下における貿易と投資の拡大、中小企業や観光、民間、文化の交流の増加を目的として、中国・ASEANセンターが完成した。
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