先輩格開発区の成熟:秦皇島技術開発区
次に訪問した秦皇島経済技術開発区は、1984年に国務院が最初に承認した14の国家級経済技術開発区の1つである。東西2つのエリアに分かれており、開発区全体の計画総面積は56.72平方キロ。環渤海経済圏の中心地帯に位置し、350キロ半径内に北京、天津、瀋陽、大連、唐山などの大中都市がある。
穀物油食品加工、金属圧延、自動車部品、重機械製造、電子情報、ハイテク産業などが支柱産業で、すでに中国北方最大の穀物油食品加工基地、自動車部品生産基地に成長している。1984年の開発当初からすでに25年以上を経た先輩格の開発区であり、整然とした街並みや充実した付属施設などが、成熟した貫禄と余裕を感じさせる。
整ったインフラ環境、交通運輸の利便性、投資コストの安さ、豊富な人材資源、居住環境のよさ、市場空間の大きさなどが好まれ、日本の伊藤忠や旭硝子をはじめ、米国のGE、イギリスのTI、韓国のLGなど35を超える国と地域から外資企業が進出している。
同開発区に進出した国内メーカーも大きく成長している。2000年に設立された秦皇島天業通聯重工股份有限公司は、高速鉄道橋梁建設や地下鉄建設機械の生産企業。同社が生産する900トンクラスの橋桁設置機械やクレーンは国家科学技術進歩賞2等賞を受賞しており、北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道などで使用された。また、地下鉄用トンネルを掘削するトンネルボーリングマシンも主力商品。日立造船から技術提携を受けての新規事業だ。現在同社のトンネルボーリングマシンは北京の地下鉄工事に8台投入されているほか、全国28都市の地下鉄用トンネル掘削に用いられている。工場内で生産される迫力あふれる巨大重機を見ていると、内需主導型経済へのシフトを支えるインフラ整備に、秦皇島企業が大きく貢献していることを実感させられる。
秦皇島天業通聯重工股份有限公司の工場で製造中のトンネルボーリングマシン
|