曹妃甸工業区を語る上で忘れることのできないのが、中国十大製鉄会社の1つである中国首鋼集団だ。実は、曹妃甸の地の利に最も早くから着目したのは首鋼だ。2008年北京オリンピックの環境対策対応などの理由で首都北京からの移転を計画していた首鋼は、産業港・生産拠点としての条件に恵まれた曹妃甸を移転先に選んだ。2005年には唐山鋼鉄集団と共同で「首鋼京唐鋼鉄聯合」を設立。すでに第1期工事が完成し、2010年6月から全面稼動が始まっており、年間生産量は970万トンに達する。
首鋼宣伝処の馬暁副処長は、移転先に曹妃甸を選んだ理由を「陸側に浅瀬、近場に渤海湾最深部があり、25万トンクラスの船舶が入れること。それに天津港は一定期間ごとに浚渫しないといけないが、ここは自然と砂がなくなり浚渫の必要がない」と説明する。原材料の入荷と製品出荷も海から行えるため、大幅なコストダウンにつながっているという。
すでに稼動が始まっている首鋼の工場
現在のところ、曹妃甸は港湾施設や搬送施設、首鋼や大型発電所などいくつかの工場、そしてマンションと思しき建設中のビルのほかは、造成地が延々と広がる広大な空き地だ。しかしこの空き地は、将来の一大産業集積地として国や省など関係各方面が熱い期待を寄せる「黄金の宝地」である。
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