――それと関連した話題ですが、中国には中産階級が今後生まれる、もしくはすでに存在している、または「萌芽」中と言うことはできるでしょうか?もしそうであった場合、「中産階級」という表現を採用することに実際的意義があるとお考えですか?もしくは、この「階級」は政治、経済、文化、社会などの面でどのような影響を及ぼし、どのような役割を果たすでしょうか?
中国には中産階級がすでに存在している、または「萌芽」しつつあると言っていい。しかし一般的な意味での「中産階級」と比べ、まだ「不成熟」さが見られる。この不成熟さは、「所得と消費水準が中産階級に達した」という基準は満たしているものの、「中産階級」の階層意識基準で見ると、政治参加意識、社会責任感などの面でまだ不十分なところが多いことに顕著に表れている。したがって『青書』では「中産階級」という表現を採用しなかった。それに、「中産階級」という表現もこの社会階層を完全かつ正確に表すことは出来ない。
この「階級」の重要な役割は明らかだ。政治面では、民主政治の促進者であり実行者である。経済面では、技術と管理革新の主体であり、消費の主力、経済発展の動力源である。文化面では、先進文化の代表であり、文化発展の主体である。そして社会面では、社会の進歩と改革の推進者と参画者であり、社会発展の安定器である。
――今おっしゃいましたように、中間層である中間所得者群は消費の主力であり、社会の安定器でなければなりません。しかし、異常に高い不動産価格などのせいで多くの人は財産を使い果たし、消費者物価指数(CPI)がインフレ警戒線を越えるに至って、ずっと価格に無頓着だった「中産」の人々も心配になり始め、さらに「不完全」な社会保険や仕事の大変さなども加わって、明らかに各方面からのさまざまな圧力を感じるようになっています。この階層の将来への憂いや困難を取り除き利益を保障するに、どのような対策を取るべきだとお考えですか?
マクロ経済の変動、不動産価格の上昇、インフレ、「不完全」な社会保険、仕事の大変さなどは確かに中間所得層が直面している大きな問題だ。政府には彼らの将来への憂いや困難を取り除き利益を保障する責任がある。まず、国民所得の分配関係を整理し、現在普遍的に存在する「政府財政収入の増加率はGDP(国内総生産)成長率より高く、都市住民1人当たり可処分所得の成長率はGDP成長率より低い」という現象をひっくり返し、国民に利益をもたらすような国民所得分配政策を実行する必要がある。次に、「土地財政」を改革し、不動産価格の急激すぎる上昇を抑制し、低所得者向けの保障性住宅供給を増やす。第3に、「給与の増加とインフレ率のリンク」政策を実行し、住民所得がインフレによって減少しないようにする。第4に、社会保障水準を向上し、社会保障のカバー範囲を拡大し、住民の将来への不安や憂いを適切に取り除く。第5に、労働者市場を規範化し、労働雇用監察を厳格にし、和やかで快適かつ安定した就業の権利を確保する。
「北京週報日本語版」2011年9月22日 |