食糧問題に悩まされてきたアフリカ
アフリカ大陸には1億9000万ヘクタールの耕地があるが、農業インフラが大きく立ち遅れているため、灌漑地は耕地の5%に満たず、アフリカ諸国の農業はなおも天候任せの状態から脱していない。それに加えて、多くのアフリカ諸国の農業生産技術はまだかなり立ち遅れており、単位面積当たりの生産高は世界平均水準の半分に満たない。アフリカの食糧自給率はわずか70%前後で、トウモロコシがほぼ現地の需要を満たせている以外は、小麦の45%、水稲の80%を輸入に頼っている。大きな自然災害があれば収穫が激減するか経済作物価格が下落して、アフリカ諸国は外部から食糧を買わなければならなくなり、深刻な飢饉が起こる。
アフリカ諸国の独立後、食糧問題はずっとこの大陸を悩ませてきた。1984年の東北アフリカ地域大飢饉、1992年にソマリアなどの国で起きた飢饉は今も人々の記憶に新しい。ここ数年は、国際食糧価格が上がり続けたため、食料不足のアフリカはさらに不利な状況へと追い込まれた。統計によると、2007年の世界食糧価格指数は2005~2006年から24%上がり、食糧価格は2008年の第1四半期だけで2007年同期比で53%上がった。世界の食糧価格の大幅な上昇により、多くのアフリカ諸国が食糧危機に陥り、54カ国のうち40数カ国で食料が不足した。ここ3年の食糧価格の高騰で、カメルーン、ブルキナファソ、セネガル、コートジボワール、モザンビークなどの国で「食糧騒乱」が起きている。
アフリカの急激な人口増加も食糧供給不足の重要な原因だ。アフリカでは、食糧生産増加よりも人口増加のスピードが大幅に速かったからである。1900年には1億4100万人だったアフリカの人口は1960年に2億7800万人となり、2010年には10億人を突破した。アフリカの人口は110年で7倍多くなったが、これほどの人口増加は世界の他の地域では見られないものだ。アフリカの食糧生産は明らかに人口増加についていけていない。国際連合食糧農業機関(FAO)のレポートによると、人口の急増により、サハラ以南アフリカの食物が不足している人口は1990年代初めの1億6900万人から2億1200万人に増えたという。
アフリカは経済のグローバル化プロセスでも不利な地位にある。アフリカの農業水準は低く、小農経済が盛んで、農業インフラが立ち遅れ、農産品は国際市場で競争力を欠く。一方、先進国の農業は発達しており、しかも政府の高額な補助が受けられるため、アフリカの農業はきわめて大きな損失を被り、農民の作付けに対する意欲に大きく影響した。農民たちは自分で消費する分だけ作れればそれで満足してしまい、もっと食糧を生産しようとしなくなった。さらには、欧米諸国がアフリカで囲い込んだ土地はすでに3000万ヘクタールを超え、その面積はフランスの2分の1に相当する。囲い込んだ土地では、経済作物の栽培や新エネルギーの開発が行われた。
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