◇「新聞記事は足で書くんだ!」◇
地元の新聞記者はなぜ取材をしなかったのだろうか。電話で直接記者に聞いてみた。
私(以下Q):中国の温家宝総理が郡山市金透小学校の児童に返信を書いた記事をごぞんじでしょうか。
地元記者A(以下A):えっ?いやあ、発表がなかったので、知りません。
Q:5月19日の人民日報に掲載されたことは、日本の新聞のニュースにもなっていますが……。
A:そのような情報がなかったので、分かりません。そうでしょう。
Q:温家宝総理が郡山の小学生に返信を書いた記事は、他の新聞やテレビでも報道されなかったのでしょうか。
A:それはよその社のことなので、わかりません。それぞれの会社に聞いてください。
◇
Q:郡山市金透小学校児童が、中国の温家宝総理から返信をもらったというニュースはご存知でしょうか。
地元記者B(以下B):そういう発表はありませんでした。
Q:発表はなかったかもしれませんが、北京発の共同電で地元の新聞にも載っていましたが。
B:あっ、そうでした。私は見てなかったので知りませんでした。
◇
2人の記者とも「発表がないので分からない」「そのような情報も知らない」とのことだった。つまり発表されたもの以外は記事にできないということなのだろうか。常に自身のアンテナを高く立てて自らニュースを発掘し、それを取材して独自のニュースにしようとの意欲は、電話で聞いた限りはまったく感じられなかった。私の記者時代、デスクや先輩に「発表がなかったから知らなかった」などと言い訳したら、物凄い罵声のもとに一括されただろう。
「なにっ?!発表がない!!発表モンなんか広報紙に任せておけばいいんだ。そんなもん聞くより、自分の足で歩いて街ネタの一つでも拾ってこい。ばかやろう!」「新聞記事は足で書くんだ!」机を2、3回叩かれてどやされることは確実だった。もたもたしていたら、机ではなくこちらの頭を叩かれたかもしれない。
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