~変わり果てたかつての記者魂とニュース感覚~
斎藤文男(南京大学日本語学部専家)
東日本大震災の被害にあったかつての勤務地・福島県いわき市を訪れた翌日、同県郡山市に向かった。被災地を訪れた温家宝総理に手紙を書いて返信をもらった郡山市金透小学校6年の福島佳代ちゃんに会うのが目的だった。「保護者が会いたくない、と言っている」(菅野健一・金透小校長の話)とのことで、結局、佳代ちゃんに会うことができなかった。このニュースについて地元紙の記者に聞くと「発表がなかった」「そのような記事があることを知らなかった」という。外国の総理に手紙を書くという勇気ある小学生に対して、異常なまでの神経を使ってガードする学校教育関係者。発表がなければ記事が書けない新聞記者。かつてのニュース感覚や記者魂はあまりに変わり果て、震災惨状を目の当たりにした以上の衝撃を受けた。
郡山市内で最も古い歴史のある金透小学校正門
校舎半部は地震の被害で使えなくなり修理が必要となった金透小学校
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