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◇東日本大震災被災地現地ルポ㊤◇

 

パトロールの警察官が職務質問

 海岸に出ると、太平洋側に通り抜けた台風の余波で4、5メートルの波しぶきがあがっていた。この海岸のはるか向こうから巨大な津波がやってきて、今、立っているこの砂浜に私の身長を超えるような海水が襲い、すべてのものをひっくり返してしまったのだ。地球上に生命を誕生させ、育み、人類に大きな幸をもたらす海が、時にはこのような無慈悲な暴力を発揮することが、今となっては信じられない感じだった。

空き巣などの防犯対策でパトロールをする岐阜県警の警察官(広野町で)

 そんな思いで海を見つめていると、制服をきた2人の警察官がやってきた。パトカーから降りて私たちに職務質問をした。空き巣が横行しているのでパトロールをしているという。身分証明書の提示を求められたので、顔写真の付いている南京大学の工作証を見せた。

「えっ!南京から来たのですか?」と訝しがった。「現住所は?」というので、工作証に書いてある南京大学専家楼の住所を言ったら、そのままメモをしていた。

「『工作証』とは何ですか?」

「中国語では『職員証』という意味ですよ」

「そうでしたか。ここで何をしているのですか?」

「以前、新聞記者をしていた時の勤務地です。夏休みに一時帰国して、写真を撮っています」

そのあとは何も訊かなかった。警察官は20歳代で岐阜県警からの応援だった。3週間交代でその後は他の県警の応援が入ると話していた。福島県警だけでは間に合わず、全国から警察官が応援に駆け付けている。人員不足もあるが、放射線汚染を防ぐ意味も込めて、短期間で交代しているのだろう。

災害発生時から時間が止まる

マグニチュード9.0という日本の観測史上最大の「巨大地震」。10メートル以上も海面が盛り上がり、陸地の斜面をさかのぼる遡上高(そじょうだか)は40メートルにも達した「大津波」。原子力事故の国際的な評価基準で最悪の「レベル7」となった福島原発1号機の放射能汚染事故。世界的な規模の災害に3つも同時に襲われるのは史上初めてのことだろう。今、その現場に立っている。

JR常磐線広野駅の構内には車両が止まったまま。駅舎は布がかけられ修理を待っている。ホームに人影はない。作業車がポツンと放置されている。海水を被った線路は列車が通らないためかサビついていた。賑わっていた駅前通りに人通りはまったくない。日本で35年間、新聞記者としてさまざまな災害や事故現場を取材してきた。大地震、大火、洪水、山火事、落雷、旅客機やジェット機の墜落現場。それらのどれにも比較できない。未曽有な3つの巨大な災害が同時に発生した被災地を見るのは初めてだ。発生から4カ月余りがたっても、時間は「その時」から止まった状態が続いている。

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