買収される道を脱するには
中国固有ブランドの発展は実のところあまり思わしくない。「中華老字号」企業1600社のうちどうにか現状維持できているところが70%、長期の赤字で倒産・破産寸前のところが20%であり、利益の出ているところは約10%にとどまっている。
企業が発展するにはまず資金が問題になる。中国固有ブランドがよく外資に買収される理由もここにある。
「多くの老舗企業に資金調達の過程で新しい変化が見えてきている。外資の受入を待たずに積極的に上場して資金調達を行うようになった」。中国商業連合会副会長で、中華老字号業務委員会主任の安恵民氏は言う。
今のところすでに41社の「中華老字号」企業が上場に成功している。安氏は「1867年に誕生し144年の歴史を持つネスレは、国際的な老舗企業であると言える。中国の老舗企業もネスレと同じようになれる」と述べた。
北京には現在80社余りの「中華老字号」があり、全国で飲食業の「中華老字号」が最も多い。企業所有制改革と統合を経て、多くの「中華老字号」企業がすでに上場し、現代的発展モデルへと転換している。
さらに安氏は、多くの「中華老字号」企業は、企業発展する上で意識変革の問題に直面していると言う。こうした企業は伝統ある優秀な文化遺産を受け継ぐだけではなく、外国の先進的な科学的管理法や経験を吸収せねばならず、常に意識と制度を変革する必要があるという。
「一部の老舗企業は現状に満足して革新意識に欠け、現代的な企業制度が構築されておらず、現代的なマーケティング理念も乏しい。現代物流配送やチェーン経営、電子ビジネス、現代サービス営業など先進的な経営管理観念についての知識が非常に少なく、ひいては拒否することさえある。そしていつになっても、店舗を1つか2つしか構えないような小商い的な経営方式で満足している。こうした考えでは、本当の意味で発展するのは不可能であり、最後には必ず市場競争により淘汰されるだろう」。
上場に成功した老舗企業の実例は、すべての老舗企業に新たな発展の道を示した。蘇州にある「中華老字号」食品企業の松鶴楼は、多くの外資企業の合併買収の話を断って、資本市場へと打って出る準備を進めている。2年以内に上場するのが目標だという。
200年以上の歴史のある松鶴楼が上場に成功すれば、全国各地の老舗企業にとって極めて大きな意義を持つことになる。
しかしながら、業界内では老舗企業の上場を心配する声もある。元全聚徳董事長の姜俊賢氏は次のように述べている。「資金調達のための上場は老舗企業にとって一定のリスクが伴う。一部の老舗企業にとっては、まず自社が確実に生き残れるようにすることが第一である。その上で自社に合った発展の道を選ぶことこそが最も肝要だ」。
姜氏はまたこう続けた。「一部の老舗企業は、その積み重ねてきた歴史と、独特で門外不出の調合方法によって神秘性を醸し出しているからこそ、生き残ることができている。資金調達のための上場はすなわち公開性、透明性を意味するものであり、そうすることによって老舗の神秘性は失われてしまう。他にも、上場するにあたって、老舗企業の形態は家族経営や個人経営から公衆性のある株式会社制へと変わる。株主構成に潜在的な変化も起こりうるだろうし、ひいては大株主がそれまでと変わることすらあり、そうなれば従来の経営戦略や施策が覆されるというリスクに直面するかもしれない事態も招くだろう。上場しようとしている老舗企業はこうしたことを心しておくべきだ」。
「北京週報日本語版」2011年8月11日
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