外資企業からの買収は禍か、それとも福か?
2010年、徐福記の営業収入と純利益はそれぞれ43億1000万元と6億220万元で、同期比で14%、31%増加し、中国製菓企業で第1位に名を連ねている。まさに伸び盛りの時期にあるというのに、どうして売却しようとしたのか。これについて徐福記は特に説明をしてはいない。
北京市内のスーパーの徐福記ブランド菓子売り場 (中新社)
だが多くの専門家たちは、徐福記にとって今回の合併買収は割のいい取引だと結論付けている。徐福記の商品はキャンディー・菓子類に集中しており、商品ラインナップが単一的だ。しかしこの業界の競争はますます激しさを増しており、徐福記の持続発展には新商品の開発に力を入れることが必須となる。しかし研究開発力が弱い徐福記は、かつて利潤の比較的高いチョコレート菓子を出すことで拡張を狙ったが、思うようにはいかなかった。その点、ネスレはまさに商品の研究開発が基盤となって創業された企業だ。徐福記にとってネスレの資本参加は企業発展の新しいチャンスなのである。
全国工商業連合会合併買収労働組合の王巍会長は言う。「プラスの面で言うと、外資企業による中国固有ブランドの合併買収はその業界の統合を速め、発展の過程を縮めることができるが、突出したマイナス面もある。外資企業に独占されやすい環境になってしまい、中国国内産業の市場に対する支配力を弱めてしまうのだ」。
商務部の資料には、中国の39業種で、すでに多くの企業の経営支配権が外資に握られている、とある。王氏の見方は、これから2~3年、もしくはもっと長い期間、中国資本市場の勢力構造は外資企業による合併買収を中心に形成されるというものだ。もし外資企業が買収という方法で主導的あるいは独占的な市場シェアを占有したり、その市場の競合先トップ企業を買収したりしてしまうと、外国の多国籍企業が現地の市場シェアを急速に拡大させ、独占状態を引き起こしてしまうだろう。
王氏は次のような懸念を抱いている。もし多国籍企業が中国企業を大量に合併買収するとしたら、中国の民族経済の成長と発展が必然的に抑制され、中国経済の自立能力に悪影響が及ぶ。そうなれば、中国の経済の安全にとって軽視できない脅威となるだろう。
また王氏は、中国が固有ブランドを守らず、強大な実力のある外資企業に吸収合併されるに任せていれば、中国の民族的特色あるブランドは失われていくだろう、と予測した。
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