銀行貸倒予測を取り除け
銀河証券の左暁蕾首席総裁顧問によると、国際社会の中国銀行業に対する懸念を取り除くには、まず地方債が銀行の貸倒に転化するという予測を取り除く必要がある。短期的には地方債の解決案策定に着眼し、長期的には戦略的角度から地方政府の地方債発行を規範化し、根本から債務危機を回避するべきである。
左暁蕾氏はそのための解決案の構想をいくつか検討している。まず、「地方債」をきちんと財政負債と呼ぶようにすることだ。「地方債」の80%は会社形式の「政府融資プラットフォーム」を通じて銀行貸付金の形で存在しており、原則上、中央財政収入が増加してもその分でそのまま銀行貸付金の債務返済を充当することにはならない。したがって、政府貸付のうち、政府職能実施プロジェクトの貸付、公益サービスプロジェクトの貸付、危機対応資金の貸付がどれなのかをそれぞれ細分化し、財政の範疇に振り分け、財政債務として筋を通し、毎年の財政収入増加分から一定の割合で負債返済に充てるべきだ。
第2に、政府融資プラットフォーム貸付金の多くは経済的・社会的に効果利益のあるインフラ上に用いられており、こうしたプロジェクトの経済的・社会的効果利益は次第にはっきりと現れてくるだろう。こうしたプロジェクトに対し、経済的効果利益、特に社会的効果利益の計算を行うべきである。これは財政債務と受益とのバランスを取るのに役立つだろう。
第3に、地方の国有企業の民営化、つまり一部国有資産の売却により、一部の銀行貸付金を返済する。
第4に、銀行が地方債務を引き当てる。中国銀行業の利益は力強く成長しており、その資産品質はなおも安定を保っている。銀行は地方政府融資プラットフォームの貸付に対し貸倒引当を行わなければならない。ある程度は銀行の拡張速度が落ちるが、こうすることで地方融資プラットフォームのリスクが全体的にコントロールできるようになる。
左暁蕾氏は、「長期的に見れば、地方債務リスクと危機を防止するには、まず地方政府が一切を顧みずプロジェクトを立ち上げ大風呂敷を広げてGDPを成長させようとする衝動を抑制しなければならない。こうした衝動は巨額の地方債累積の重要な原因だ」と言う。
左暁蕾氏は、銀行は政府融資プラットフォーム貸付金問責制と厳格な予算制約メカニズムの構築を提案している。中国の銀行は基本的には政府の活動から独立しておらず、貸付分野への行政干渉が完全になくなったことはない。銀行業が地方政府といわゆる大プロジェクトの信用を盲信し、地方政府への貸付が正常のリスク管理原則に従って制約されなければ、銀行のリスクは高まり続けるしかない。一般の貸付リスク管理メカニズムで要求されているように、政府プラットフォームへの貸付金に対しても頭取問責制を厳格に行うことは、地方債リスクを防止するための重要な措置でもある。
「北京週報日本語版」2011年8月5日 |