否定できない問題
中国銀行業に問題がないわけではない。経済通通訊社の周小禾研究員によると、外界が懸念する地方債のほかに、中国版バーゼルIIIの問題があるという。
上海交通銀行の窓口で手続きをする顧客 (裴鑫撮影)
金融危機発生後、世界で金融監督管理改革を求める声が高まり、注目された国際商業銀行資本監督管理改革新案「バーゼル合意III」が正式に登場した。これは世界の銀行業改革が正式にその幕を開けたことを示していた。中国銀監会は今年5月に『中国銀行業の新監督管理基準実施に関する指導意見』を発表。この意見は、銀行の資本比率、レバレッジ比率、流動性、貸付金損失準備金の四大監督管理基準を全面的に引き上げた。これはバーゼル合意IIIの中国版が正式に実施されたことを意味していた。
『指導意見』の要求に従い、銀監会は2011年中に『商業銀行資本比率管理方法』など付帯する監督管理規則の改訂を終えて発表し、2012年初めからの新監督管理基準実施に向けて基礎を固めると見られる。すべての銀行がまず直面するのは資本比率に関する試練になるだろう。新しい監督管理措置では、正常条件下における金融システム上重要な銀行とそれ以外の銀行の資本比率はそれぞれ11.5%、10%を下回ってはならないことになる。
銀行経営者にとって、これによってもたらされる資本圧力を検討しないわけにはいかない。交通銀行発展研究部の周昆平副総経理は次のように見ている。中国銀行業の融資モデルは貸付がメインだが、今後5年以内に中国の商業銀行はそのモデルを転換することになるだろう。しかしその歩みはそう速くはないはずで、貸付メインの局面がすぐに変わることはないだろう。したがって従来型の資本減耗モデルが大きく変わることはないはずだ。
『中国銀行業の新監督管理基準実施に関する指導意見』の要求を満たすために、中国の各商業銀行は融資を行わなければならない。特に今年上半期以来、毎月預金準備金率が調整され、現在では史上最高水準に達しており、金融市場全体で資金の逼迫が激化している。
『Wind資訊』の統計によると、昨年中国銀行業が年間で行った融資は計9035億5000万元で、金融市場融資規模全体の27%を占めた。今年上半期は、こうした融資動向がさらに際立っており、銀行業は計6221億1100万元を取得し、融資総規模の30.3%を占め、昨年の銀行融資規模全体の68.85%に達した。
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