資産品質は比較的良好
銀行品質の良し悪しとリスクの高い低いは、資産と負債、自己資本比率、不良債権比率の3つの数字で最もよく説明できる。
銀監会(中国銀行業監督管理委員会)が7月25日に公表したデータによると、2011年6月末現在、中国銀行業金融機関資産総額は104兆1400億元に達し、同期比で19.4%増加、負債総額は97兆8100億元で同期比18.8%増加した。
また銀監会が5月に公表したデータによると、今年第1四半期、商業銀行の資本比率は11.8%であった。銀監会は、正常条件下における金融システム上重要な銀行の資本比率は11.5%以上、それ以外の銀行は10.5%以上であることを求めているが、11.8%という数字はこのレッドラインよりは上だ。
銀監会のデータはさらに、今年第1四半期に中国の商業銀行の不良債権残高が昨年末より3億元減の4333億元で、不良債権比率は1.1%であり、昨年末と同水準だったことを示している。この比率も国際的に公認されている不良債権比率5~8%のリスクラインを下回っている。
この3つのデータがすべて良好であるのに、なぜ国際格付機関と投資機関は中国の銀行に懸念を示すのだろうか?
フィッチのメディア向け資料によれば、彼らが懸念しているのは中国資本銀行の中期資産品質リスクだという。フィッチはこれまでに何度か中国の銀行システム中期資産品質を展望した場合のリスクを指摘している。2008年以来貸付増加が加速、そのうち大量の貸付金が地方政府と不動産開発事業者に渡り、その中期償還能力が疑問視されてきたためだ。これはフィッチが中国資本銀行に対し現在のような存続性格付をしている主要な理由でもある。
フィッチのこうした懸念に対し、中国人民銀行の資料は次のような見方を示している。各地政府の融資プラットフォームの貸付金には、現地の各人民元貸付項目残高に占める割合が高いところも低いところもある。省によっては30%をはるかに下回っているところもあるし、比率が最高のところでも30%を超えてはいない。国家審計署が発表したデータによると、2010年末の地方債は総額10兆7000億元であった。中国の2010年のGDP規模は39兆8000億元前後だったから、これをベースにして計算すると、債務のGDPに占める比率は国際的に通用している60%の基準よりも低くなる。
「地方政府融資プラットフォームの借入金リスクについては、全体的にはコントロールが可能だと考えている」。中国人民銀行の資料はこう記している。
中国人民銀行によれば、地方政府融資プラットフォーム資金は主に経済的・社会的な効果利益のあるプロジェクトに投じられている。ここ数年は工業化や都市化が急速に進み、かなりの部分のプロジェクトが安定した十分な現金収入を生み、完全に債務元利をカバーすることができる。一部のプロジェクト建設は周辺や沿線の産業開発と結びつき、この総合収益も債務償還分を十分に満たしている。こうしたプロジェクトはいずれも自己償還性がある。キャッシュフローで債務元利をカバーできず、財政支援を必要とするプロジェクトはごく一部分だ。
フィッチが格付した中国資本銀行16行のうち、ごく一部の銀行が上場に向けて中国証券監督管理委員会の審査を受けている最中だが、多くは上場銀行である。これらの銀行が定期的に公表する財務報告はいずれも会計士事務所の監査を経たものだ。報告で発表されたデータ情報から見て、銀行不良債権比率は非常に低い。商業銀行も貸付金品質とリスクの管理強化を非常に重視している。
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