「環境保護の英雄」の影響を受け、引き続き前進
「ここ数年、国はココシリ保護区に対する保護に力を入れているが、金銭的誘惑を受け、密猟事件が毎年発生しており、宣伝・教育はチベット自治区の野生動物の保護にとって極めて重要になってきている」と裴氏は言う。また、彼によると、撮影の中でしなければならないことがもう1つあり、それはココシリに住む人々に環境保護についての宣伝と教育をしっかりと行うことである、という。
ココシリの周辺で暮らしている遊牧民の大部分がチベット仏教を信仰しており、青海、チベットは全国最大のチベット仏教を信仰する牧畜民の集中する地域である。チベット自治区の人々に環境保護の重要性を分かってもらうために、裴氏はチベットカモシカ、チベットノロバなどの野生動物の写真を精巧で美しいチベット暦カレンダーにし、そこにチベット語で生態環境の保護についてのスローガンを入れた。彼はこれらのチベット暦カレンダーを現地のラマ僧に渡し、チベット暦新年や法会や特別な祝日のときに、行事に参加する信徒たちに配布してもらった。
ココシリで撮影やボランティア活動していた間、裴氏の心は終始1990年代にチベットカモシカを保護するために犠牲となり「環境保護の英雄」と称されたソナンダジェ(索南達傑)の事績に感銘を受け続けていた。裴氏は「英雄の精神は環境保護の道を前進するよう私を励まし続けている」と語った。
ある時、ココシリで撮影していた裴氏は偶然ソナンダジェの英雄的事績を詳しく知る機会があった。裴氏は英雄への崇敬の念を抱いてソナンダジェの生前の親友に会いに行き、働いていた場所を訪問したこともある。裴氏は次のように言った。「ソナンダジェが生前に働き暮らした場所の環境は非常に厳しい。ソナンダジェは亡くなる前に、青海省玉樹チベット族自治州の治多県委員会の副書記だった。貧困県の指導者が、チベットカモシカを保護するために犯罪者と粘り強く闘争し、ひいては命を捧げたのだ。それを思うと、私たち後に残った者は自分の行動を通じてココシリのためにしかるべき努力をする必要があるのではないだろうか」。ソナンダジェについて裴氏は、「地震と道路補修などのさまざまな原因で、ソナンダジェ氏の英雄記念碑はもうある程度損壊しており、数年後には崩れ落ちてしまう可能性がある。自分の努力を通じてココシリ管理局と共に新しい記念碑を建て、英雄の精神を通じて、環境保護を重視することは人類の未来の発展を重視することだと常に警告し続けていきたい」と語った。
裴氏によれば、彼はここ数年、毎年の撮影のほか、多くの時間をかけて自分の作品を整理し、写真展などのさまざまな形式を通じて、人々に真実のココシリを紹介している。裴氏の最大の願いは、将来『ココシリ生態影響誌』をシリーズで出版し、ココシリの環境保護と生態変遷の真実の資料を残し、後代の人々がずっと美しいココシリを見ることができ、この長い歴史のある美しさを守るためにココシリの環境保護事業を続けていけるようにすることだ。裴氏は言う。「ココシリの生態と環境の変化の撮影は、長期間になるほどその価値を体現することができる。50年ひいては更に長い期間にわたって撮影し続けられると思うと、とても興奮する。一生に1つこのようなことができればもうそれで十分だ」。未来について、裴氏はなおも無限の期待に満ちている。
「北京週報日本語版」2011年8月3日
|