本誌記者 蘭辛珍
国務院の要求の下で、中央部・委員会など98の国家機関が7月初めから次々に「三公」経費(公用外遊費、公用車購入・運用費、公務接待費)の2010年決算額と2011年予算額を公表した。「三公」経費の公開は中国ではこれが初めてである。「これは中国政務公開のマイルストーンであり、中国政治体制改革における実質的意義のある措置でもある」。国家行政学院の竹立家教授はこう述べた。
長年の伝統習慣により、政府運営の公開透明化改革プロセスを一挙に成し遂げることは不可能だ。現状からすると、「三公」経費公開はまだ十分に細分化されておらず、人々の期待とはまだ一定の距離がある。しかし竹教授は、中央政府が「三公」経費の公開透明化を推進したことは改革に対する固い決意の表れだと考えている。
積極的意義ある公開
中国政府部門「三公」経費の不透明な使用状況は社会的にずっと非難されており、「三公」経費公開を求める声が強かった。
竹教授は2006年に書いた文章で次のように指摘している。公用車購入、公金での飲み食い、公費外遊は一種の腐敗現象であり、こうした権利を獲得し、個人的な恩恵や特権を手にする人がいると、大衆に非常に好ましくない反響を生み、党の威信にとって悪影響を与える。しかも「三公」経費支出は融通が利き、最も派手に浪費したり、公衆に損失をかけて私腹を肥やしたり、腐敗を生んだりしやすく、社会から最も注目されている。
民衆からの訴えに促され、また「三公」経費支出には確かに問題があったこともあり、中央政府は問題の解決に力を注ぐようになった。2008年5月1日から中国は政府情報公開条例を実施し、政府部門財政予算と決算報告は環境保護や公共衛生、安全生産、食品薬品品質監督検査と同じように重要な重点公開内容とされた。
今年3月23日、温家宝国務院総理は国務院常務会議を召集し、中央部門「三公」経費予算関連問題について特に検討した。会議では、2009年と2010年の大幅圧縮に引き続いて、2011年も中央部門「三公」経費予算をさらに圧縮することが決定され、今年6月に全人代常務委員会に中央財政決算を報告する際、その報告内容に中央本級「三公」経費支出状況を盛り込み、社会に公開して社会の監督を受けるよう求めた。今回の会議ではさらに、制度構築を強化し、「三公」経費管理制度と審査手順をさらに整備し、効果の長い節約励行メカニズムを確立し整備することが求められた。
竹教授によれば、中央部門の「三公」経費公表の最大の見どころはこれが「第一回」であり、社会の監督を受けるための政府部門による自発的「三公消費」公表がここからスタートした点だという。
中国政法大学法治政府研究院の王敬波副院長は、中央機関の「三公」経費予算公開は政府情報公開条例の積極的かつ徹底実施行為であり、おおいに肯定すべきもので、社会の要求に対する積極的反応でもある、と語る。財政支出を公開し透明にすることは、人々の知る権利に対する尊重であり、政府部門公金消費の有効な抑制手段だ。経費を白日の下にさらして初めて、権力が白日の下で行使されるよう制限することができ、人々の支持と評価を得ることもできるのである。
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