勢いはどこから
「われわれは一貫して構造を調整してきたが、構造的な問題はむしろますます深刻になりつつある。現在、エネルギー高消費産業や重化学工業は拡張し続けているが、ハイテク産業は今までのところ、その発展はまだ人意が尽くされたとは言えない」。中国エネルギーネット首席情報官の韓暁平氏はこう強調する。
韓氏によると、エネルギー高消費業界が依然として力強いのは、実は、地方政府が債券を発行し、多くのお金を借りてその産業を発展させていることと関係がある。
江西省新余鋼鉄集団有限公司二鋼廠。鉄をあぶっているところ (彭昭之撮影)
08年に政府が4兆元の経済刺激策を打ち出して以降、多くのエネルギー高消費プロジェクトが、地方政府により「重要プロジェクト」の衣を着せられて中央の関連部・委員会に報告され、認可を得て資金援助を受けている。経済刺激の影響で、多くの国有企業が生産能力の規模を拡大するようになり、しかも盲目的に規模拡大を強調するだけで経済効率は強調されていないため、生産能力は絶えず拡大していった。11年は「十二五」のスタートの年でもあり、市場への投資熱に突き動かされて、エネルギー高消費業界への投資も自然に押し上げられた。
韓氏は「地方政府がこうしたエネルギー高消費産業を拡大したのは、国内総生産(GDP)を追求するためであり、産業が拡大すれば、税収は増えると考え、このため企業を誘致して資本を導入することに多くの精力を傾けるとともに、数多くの特恵的な条件を付与したことから、最終的に、エネルギー高消費産業は畸形的な発展を遂げることになった。同産業は中国の資源とエネルギーを大量に消費し、汚染を中国に残す一方で、製品価格が廉価なため反ダンピングへの国際的な報復措置に遭い、中国経済は「悪性循環」に陥ってしまった」と説明。
韓氏は「中国が悪性循環から抜け出すには、エネルギー高消費産業の発展を抑制する必要がある。だが、実際には、この産業はすでに中国が経済発展方式を転換させる“道を遮るトラ”となっている」と指摘する。
国務院発展研究センター傘下の中国経済時報は、こうした結果を招いた原因は多方面にわたると指摘する評論を発表。まず、中国は急速に成長する非先進国であり、世界の5分の1の人口を擁する大国でもあり、都市化や工業化が急激に進み、人びとは生活レベルの改善と向上を切実に必要とし、資源・エネルギーや各種の原材料に対するニーズは極めて大きい。
次に、地方政府はGDPと税収を増やすため、エネルギー高消費産業の保護のカサになるのを惜しまない。一方、中央の側から見れば、同産業の監視・管理、プロジェクト立案の審査・認可、用地の審査・認可、環境アセスメント、融資などはそれぞれ異なる機関が所管しており、こうした多面的管理体制が原因でプロジェクトを厳しく抑制することはできない。
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