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「サイバー戦争」に乗り出した米国

 

マイナス面の影響も

米国のサイバー戦争に関する態度表明と多くの動きが世界の安全保障構造に与えるマイナス面の影響を、過小評価することはできない。まず、米国は日増しにサイバー戦争を新たな戦争形態へと拡大し従来の戦争の延長形にしようとしている。いかなる戦争形態であっても、その出現は人類にとって大きな災難となる。核兵器はその出現後、長い間世界を覆う暗雲となった。その核兵器よりも潜在的損害が大きいサイバー兵器は、なおさら世界の安全にとって極めて大きな負の衝撃をもたらすだろう。次に、米国のサイバー戦争配備によって、他国もサイバー戦争に対する注目と投資を強め、サイバー空間に軍備競争が起こる危険性が著しく高まっている。人類のネットワークへの高い依存度とサイバー空間の相互アクセスという特性を鑑みれば、いったんサイバー軍備競争が起これば、その必然の結果として大惨事を招くだろう。事実、米国の動きはすでに多くの連鎖反応を引き起こしている。例えば、韓国は米国に次いでサイバー司令部を設置し、150カ国以上がネットワーク兵器開発の専門機関を設立した。第3に、サイバー攻撃が個人行為なのか国家行為なのかについて、現在はまだ技術手段で区別するのが難しく、これが一部の国がサイバー戦争ツールを濫用して戦争を発動するのに口実を与えてしまっている。技術的には、攻撃元の国を特定し、ひいてはIPアドレスを突き詰めることすら可能だが、いったい誰が攻撃に使われたコンピューターを操作したのかまで特定することはできない。仮にハッカーの個人的な攻撃行為であったとしても、それが政治目的によって国家行為として扱われることも考えられ、そうなれば国家間の衝突を引き起こしかねない。

米国がサイバーセキュリティを守るためにサイバー戦争という手段を取れば、その結果は逆に安全でない不安定なサイバー空間を作ることになり、ちょうど反対の結果を招くことになるだろう。サイバー空間は「世界の公用空間」の重要な一部分であり、その特殊性ゆえにセキュリティ構築のため以下の原則を守ることが求められる。①国際協力。国境による制限を越えたサイバー空間では、一国が他国と協力せずに単独で行動してもなかなか功を奏すことはできない。注目すべきは、ハッカーやサイバーテロなど非国家行為は往々にしてより大きなサイバー空間への脅威となり、その対応は国際社会が協力してサイバーセキュリティ問題を解決する上での注目点と出発点になるはずだということである。②非軍事化。サイバー空間を軍事化し暴力で暴力を制すような行動は、いかなるものであっても安全をもたらさない。サイバー戦争が蔓延すれば、相手と同様に自分まで脆弱にすることになるだけなのである。

「北京週報日本語版」2011年6月29日

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