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「サイバー戦争」に乗り出した米国

李岩 (中国現代国際関係研究院米国研究所助理研究員)

 

先ごろ米国メディアは、米国軍が「ネットワーク不正侵入行為」を等級づけする、最高等級のネットワーク不正侵入を「戦争行為」と見なす、サイバー兵器開発を急ぐ、といった内容を含むサイバー戦争の準備を進めていることを相次いで報道した。米国国防総省のゲーツ長官もシンガポールで開催された「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」で、米国は他国からのサイバー攻撃を戦争行為と見なし武力で反撃するとの旨を率直に認めた。

6月4日、シンガポールの「アジア安全保障会議」に出席し、テーマ講演を行う米国国防総省のゲーツ長官 (新華社/AFP)

サイバー戦略を実施

上述したようなサイバー戦争に関する最新の態度表明は、米国のサイバー空間戦略の最新状況を反映したものだ。米国は「サイバー空間」を陸、空、海、宇宙と並ぶ「第5の空間」と考えており、世界で初めて「サイバー戦争」の概念を打ち出し、その実戦化を企図している国である。オバマ政権はサイバー空間からの国家安全に対する挑戦を極めて重視しており、多くの戦略報告の中でそのサイバー空間戦略が詳述されている。2009年5月、米国は『サイバーセキュリティ評価報告』を発表し、国家安全に対するバーチャル空間からの脅威は「すでに米国が直面する最も深刻な経済・軍事的脅威の1つになった」と指摘、ネットワークインフラの保護を米国の国家安全防護上の重要任務と位置づけた。2010年『4年ごとの国防計画の見直し(QDR)』ではサイバー空間行動の総合プランを策定してサイバー空間行動の集中指揮を実現することが提起され、国防総省に対しサイバー空間行動を国と国との衝突に対応する重要手段として検討するよう求めた。2011年『国家軍事戦略』ではさらに、サイバー空間の戦略抑止力を構築し、これを米国軍の核心任務の1つとすることを強調した。

上記の各文書には、米国のサイバー戦争認識がほぼ「戦略計画」段階に留まっていたことが反映されていたと言っていいだろう。だがゲーツ長官の最新の態度表明とネットワーク不正侵入の等級づけは、米国がサイバー戦争に関する問題を具体化しつつあり、徐々にサイバー戦争「実施段階」へと進んでいることを示すものだ。まず、サイバー戦争に関する基本問題、すなわち「サイバー戦争」をどう規定するかという問題を解決した。国家行為としてのサイバー攻撃を戦争行為と見なすことを明確にし、サイバー戦争の具体的な対象をさらにはっきりさせたのである。次に、「サイバー戦争にどう対応するか」という問題に対して、「武力で反撃する」という答えを明確に示した。今年5月16日、米国は『サイバー空間の国際戦略』でこれについてさらにはっきりと述べ、軍事手段を含む各種手段でサイバー攻撃に反撃するとした。この戦略はさらに「集団安全」の概念をサイバー空間に導入し、同盟国へのサイバー攻撃も米国への攻撃と見なしている。米軍サイバー司令部のキース•アレクサンダー司令官も、サイバー司令部は「攻撃能力」を備え、「機先を制する」攻撃戦略を取るべきだとはっきりと述べている。また関連報道によれば、米国は現在サイバー戦争用の兵器を開発中だという。米国が開発中のサイバー兵器は1000種類以上にものぼり、主にコンピューターウィルス攻撃、分散型サービス拒否攻撃(DDoS)、ロジック爆弾などがある。『ニューヨーク・タイムズ』の報道によると、2010年11月にイランの20%の原子力発電所で遠心分離機を動かなくさせた「Stuxnet」ウィルスは、米国とイスラエルなどが共同開発した可能性が非常に高いという。米国国防総省の予算文書にも、米国軍は現在、敵の情報システム襲撃・破壊ツールを含む設備一式と攻撃能力を開発中であることが示されている。

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