水利体制を革新
鄭風田教授は、水利施設不足問題を徹底的に変えるには、投資拡大と同時に、水利施設建設体制の革新がより必要であり、まずは水利建設の問責制を実施するべきだと述べている。問責制は主に地方政府に対するものだ。
鄭教授によれば、現在中国で頻繁に起こっている深刻な干ばつ・水害は気候要因によるものもあるが、一方で人為的な要因、つまり政府の責任によるものもある。地方政府は水利への財政投入が不足し、特に耕地水利建設を重視してこなかった。干ばつは地方政府の責任問題である。
鄭教授は次のように述べている。問責制の核心は地方政府の責任者に対する問責を行うことであり、深刻な干ばつが発生した場合は地方政府責任者の行政問責を行うべきだ。中国で現在行われている炭鉱事故問責制に類似したもので、制度面から地方政府の耕地水利建設への重視を保証し、政府に小型耕地水利に対し必要な財政投入を行うよう強いるようにする。
鄭教授は、もし雲南省が干ばつ損害額の10分の1の資金を出して耕地水利施設を改善していたら、今回のような深刻な干ばつにはならなかっただろうと言う。水利施設への投資不足と科学的計画の不足こそが、雲南省が年間降水量が1000ミリを超える土地柄でありながら使用可能な水源が見当たらず、水があったとしても灌漑できないという事態を招いたのである。
農村地域の水利施設建設が現在直面している難題は、中国が1978年に実施した土地請負制で耕地が分配された後、大きな耕地水利建設の再組織が難しいということだ。しかし鄭教授はまったく方法がないわけではないと言う。1つめは、集団化期に農家を動員し共同で耕地水利を建設した経験を参考にして、農家の協力体制を再構築すること。もう1つは、「用水者協会」などの協力モデルを導入して、政府が適切に補助してその自立発展を助け、最終的に農家が耕地水利インフラの建設に参画し、良好なインフラ投資・建設・応用・メンテナンスの体制を構築するよう導くことだ。
実際に、農家の水利施設建設参画を導くことについては、河南省博愛県が採用した株式協力制や広西チワン族自治区平果県の用水協会など、すでに成功例がある。こうしたケースは効果的に農民の耕地水利施設投資参画への積極性を引き出しており、参考にし広める価値がおおいにある。
「北京週報日本語版」2011年6月22日
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