水利建設を急げ
干ばつ・水害防止面での中国水利施設不足の現状をいかにして変えるのか?鄭風田教授は、まず投資の面から問題を解決し、多主体、多ルート、多元化された耕地水利インフラ建設体制を構築しなければならないと考える。
中国の水利建設は経済社会の発展についていけていない。写真は三峡ダム (杜華挙撮影)
鄭教授によれば、国は水利の性質に応じて中央、省、県・郷、農民が四位一体となった耕地水利インフラ供給体制を構築するべきだという。中央政府と省政府が主導し、そこに県・郷の財政を適切に組み合わせた方式を採用し、農業経済発展と農民生活に密接な関わりを持つ耕地水利インフラ供給問題をきちんと解決することに重点を置く。例えば、大型水利工事プロジェクトは中央政府が提供し、県・郷の財政が比較的困難な現状においては、基本となる耕地水利施設の建設は省級政府から県級政府への移転支出で解決するようにする。一部の小型農村コミュニティ内のインフラプロジェクト、例えば小型耕地水利建設は、農民が直接的な受益者であり投資も小さいため、農民による投資を主体とし、政府が適切に補助する方法で建設投資をすればよい。
水利インフラ建設と管理において、十分な資金源は重要な保証となる。鄭教授によると、これまでは投資ルートが比較的単一で、ほとんどが政府の財政投資に頼っていたが、政府財政に頼るだけでは遠く及ばないことは事実が示している。現在直面している水利建設資金調達についての難題を解決するために、「多ルート」資金調達という新方式を確立する必要がある。
鄭教授は主に次のようなルートが採用可能だと考えている。
(1)財政ルート。これには財政予算内ルート、財政予算外部調達ルートなどがある。
(2)市場ルート。①長期基本建設国債を発行するなど、資本市場を利用して資金調達を行う。②耕地水利建設の推進を目的とした専門発展基金を設立する。国は一部資金を供出して水利基金を設立し、耕地水利施設の累積赤字問題を解決する。③税金の減免と貸付優遇などの政策で、経済面から耕地水利インフラへの投資を促す。
(3)宝くじ発行ルート。宝くじの発行で政府に収入をもたらし、同時に耕地水利建設のために資金調達を行う。先進国の経験を参考にし、スポーツくじなどでの成功など中国の実践経験を踏まえて、水利インフラ建設・公共事業宝くじ発行の形で資金調達を行い、投資不足の問題を解決する。
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