Imprimer cet article

Commenter cet article

トップ記事一覧  
干ばつと水害で浮かび上がる水利建設の不足

 

問題の核心

これまで中国は干ばつや水害を防ぐためにおびただしい数の水利施設を建設してきたが、それでもなお「降れば水害、降らねば干ばつ」という悪循環が見られるのはなぜなのか?なぜ水利施設は効果を発揮できないのか?鄭教授は、その主な原因は次のようなものだと考えている。1つめは「排水を重んじ、貯水を軽んじる」治水構想だ。長江中下流などは平年は雨が多く、これまでの治水構想では主に田畑の排水に力を傾注してきた。こうした治水構想は雨が多い時には効果的だが、季節ごとの降水量均衡の問題をないがしろにしてきた。雨季に雨水を全部放出してしまった場合、万が一数カ月間降雨がなければ、深刻な干ばつが起こってしまう。

水が涸れて底が見えた浙江省湖州市長興県周呉ダム(6月1日) (鞠煥宗撮影)

2つめは、長い間未修理の耕地水利施設を維持し続けるのが難しくなっていることだ。新中国成立後、中国は水利建設を大々的に行い、各地に干ばつ・水害防止などの水利施設が出来たが、改革開放後、中国の耕地水利には政府と市場がどちらもその機能を失う事態が出現した。鄭教授の解説によれば、中央政府財政の農業支援資金が主に大型河川の治水に使われる一方で、地方政府のほうは「市場化」を一方的に追求し、より多くの資金を高収益の都市水利建設プロジェクトに投入し、小型耕地水利施設の建設・管理・メンテナンスの任務を放り投げてしまう傾向が生じたことを指す。その一方で、農業生産の比較収益が低すぎる、耕地水利施設は外部依存性が高い、農村組織がほぼ解散したといった問題により、農民も耕地水利建設に力を注ぐ原動力を失い、最後には水利施設が壊れ果てる状況が次第に見られるようになってきた。これらの原因により、中国の多くの農村地域の水利施設はとうに重い負担に耐え切れなくなっており、担うべき役割を果たせなくなってしまったのだ。

3つめは、「大型ダム症候群」と水権分配問題である。エネルギー需要の見地から、中国では多くの水力発電所が建設され、水力発電用大型ダムは上流からの水を貯水した。資料によると、長江流域にはすでに4万カ所余りのダムが建設され、建設済み・建設中の水力発電所が2400カ所余りある。これらのダムと発電所は異なる流域や行政区域に散らばっており、それぞれ管理部門が異なる。一部では、日照りの季節に中下流域で大量に水の使用が必要な時に、小型水力発電所では発電用に大量に水を蓄えているなど、こうした小型発電所が日照り期間の干ばつ防止にとって障害物となっているところもある。発電所管理権の帰属と利益が異なり、水資源の融通が難しいため、干ばつ防止対策が制約されているのだ。その一方で、豪雨があった後は、大型ダムの安全性に配慮して小型水力発電所から放水が行われ、それがさらに洪水災害の発生を招く事態になっている。

今年に入ってから数カ月間に起きた大干ばつについて、三峡ダムがその元凶ではないかということが何度も提起された。鄭教授は、三峡ダムが大干ばつをもたらしたかどうかについては科学的研究と長期的観察が必要だが、大型ダム建設後の長江上下流の水資源分配、大型ダム会社の発電効率・収益と下流住民の用水権との矛盾をいかにして解決するかは大きな問題だ、と述べている。

   前のページへ   1   2   3   4   次のページへ  

北京週報e刊一覧
トップ記事一覧
干ばつと水害で浮かび上がる水利建設の不足
朝鮮、経済発展路線を模索
核安全協力が国際社会の差し迫った議題に
中共の幹部考査制度に関して
特 集 一覧へ
第7回アジア欧州首脳会議
成立50周年を迎える寧夏回族自治区
現代中国事情
中国の地方概況
· 北京市  天津市 上海市 重慶市
· 河北省  山西省 遼寧省 吉林省
· 黒竜江省 江蘇省 浙江省 安徽省
· 福建省  江西省 山東省 河南省
· 湖北省  湖南省 広東省 海南省
· 四川省  貴州省 雲南省 陝西省
· 甘粛省  青海省 台湾省
· 内蒙古自治区
· チベット自治区
· 広西チワン族自治区
· 新疆ウイグル自治区
· 寧夏回族自治区
· 澳門特別行政区
· 香港特別自治区