降らねば干ばつ、降れば洪水。大自然を前に手をつかねてなすすべもなく、すべては天任せ。そして脆弱な干ばつ・水害防止施設・・・・・・こうした状況は、中国の経済社会発展の成果と比べ明らかに大きく立ち遅れている。
本誌記者 蘭辛珍
日照りが続いても災害、雨が多くても災害。「ここに中国の水利建設不足の問題が浮かび上がってくる。」中国人民大学農業・農村発展学院副院長の鄭風田教授は言う。干ばつと水害がもたらす破壊と損失に鄭教授は心を痛めている。
6月6日、貴州省望謨県で洪水が発生し、市街地が冠水した (覃苗苗撮影)
「魚米之郷」と呼ばれる長江中下流域は、中国で水資源が比較的豊富な地域だが、日照りの時には土地がからからに渇き、大雨の後には水はけが悪く水害が発生する。「ますます人類を困らせるようになってきた異常気象を嘆くほかに、経済社会の発展に比べ中国の水利建設が深刻に立ち遅れていることもおおいに反省すべき点がある」と鄭教授は言う。
鄭教授は耕地水利の調査プロジェクトを何度か行っている。その調査結果によると、この20~30年間、中国の村のうち70%以上で耕地水利建設投資が全く行われなかったという。
中央政府は年初に今後5年の全国水利建設総投資規模を約2兆元とし、今年水利プロジェクト建設に4000億元前後を投ずることを決定した。この5年間の投資総額が7000億元だったのと比べると、水利施設改善にかける中央の決意と自信が見て取れる。しかし、水利施設の現状は干ばつと水害に苦しんでいる人々を憂慮させている。
|