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核安全協力が国際社会の差し迫った議題に

 張璉瑰 (中国共産党中央党校国際戦略研究所教授)

今年3月、日本で大地震による津波が発生し福島第一原子力発電所が深刻な放射性物質漏出事故を起こして以来、5月22日に東京で行われた第4回中日韓首脳会議や、5月26日にフランスのドービルで行われたG8サミットなど重要な国際会議で、核安全問題が重要な議題となった。これは核安全協力がすでに国際社会の差し迫った議題になっていることを示すものだ。

福島第一原発1号機で放射性物質を調べる担当者(5月22日午後)(新華社)

 

核の安全が直面する4つの挑戦

1940年代に人類が核の平和利用と軍事利用をするようになって以来、核の安全が今日のような厳しい挑戦に直面したことはない。挑戦は4つの形で同時に襲ってきている。

(1)原発事故。世界核エネルギー協会の今年3月のデータによると、世界47カ国で443カ所の原発が運転されており、ほかに建設中の原発が62カ所、設計中または申請手続中が482カ所あるという。喜ばしいことに、現時点で国際原子力事象評価尺度のレベル1~7に達した原発事故は多くはない。しかし原発事故が起こるたびにはらはらし、その結果には身の毛のよだつような恐ろしい思いをさせられる。近ごろ日本の福島第一原発で発生した深刻な原発事故は今に至るもまだ人々を安心させられるような対応策が見つかっておらず、原発周辺20キロ以内は相当長期間にわたって人が住むのに適さないことがほぼ定説となり、その海洋生物の連鎖への破壊は今後数十年のうちに次第に明らかになってくるだろう。国際環境保護NGOグリーンピースの2006年4月レポートによれば、1986年4月に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発爆発事故で27万人ががんを患い、そのうち9万3000人が死亡、放射性物質被曝者の数は数百万に及んだ。原発周囲30キロは現在もなお無人の地となり、この地域の動植物は放射性物質のせいで遺伝子が変異し、奇形が生まれている。この原発事故でウクライナ、白ロシア、ロシアでそれぞれ数千平方キロの土地が汚染されて荒地となり、ひいては比較的遠いイギリスでも程度は違ったが34%の土地が汚染された。

(2)核の制御不能。1990年代初めに旧ソ連が解体した際、一部の核施設の管理に抜けが生じ、多くの核材料、核技術、核人材が制御不能な状態となり、密輸が横行したことがあった。またつい最近では、5月22日夜にテロリスト6人が突然パキスタンのメヘラン海軍基地を襲い、双方の激戦は16時間継続、最終的に2名のテロリストが逃亡した。報道によると、今回の襲撃はおそらくパキスタン核兵器庫襲撃のリハーサルだという。海軍基地から24キロ離れた空軍基地はパキスタン核兵器基地の1つだからだ。あるイギリスの専門家によると、過去5年でパキスタンの核施設3カ所がテロリストの襲撃を受けているという。ロシアの専門家は、テロリストがオサマ・ビン・ラディンの復讐のために核兵器を入手すれば、世界で数千万人が死亡する恐れがある、と言う。5月26日、パキスタンのタリバンはパキスタン核兵器庫を襲撃しないと発表したが、その信憑性については誰も確かなことは言えない。そのため米国は近ごろ、パキスタンが核兵器の絶対的安全を確保できない状況下で米国軍が直接管理することを真剣に検討し始め、これがパキスタン政府を非常に緊張させている。

(3)核拡散。現在国際間で核技術、核材料の地下密輸ネットワークが活動しており、そのネットワークには個人や集団、また一部の国が加担している。パキスタンの「核開発の父」と称されるカディル・カーン氏は核拡散に躍起になる道徳心のない科学者である。カディル・カーン氏は核拡散が発覚し軟禁される前、ある核兵器拡散を目論む国に上客としてもてなされたことがある。濃縮ウラン技術と設備、原爆設計図と引き換えに相当な額の米ドルを手にした。数年前には、亡命したミャンマー士官が、ミャンマーが北朝鮮の支援の下で核兵器開発を行っていることを漏らした。この情報の真実性は証明できなかったが、国際社会で極めて大きな懸念を呼んだ。2007年9月、イスラエルは秘密裏に航空機でシリアの核施設を爆撃・破壊し、伝えられるところでは、爆撃による死亡者にはある国の核兵器専門家10人も含まれていたという。奇妙なことに、シリア・イスラエル双方、そしてもう1つの当事国はいずれもこの重大事件について固く口を閉ざしている。おそらく三者ともに人に言えない苦衷があったのだろう。この事故は1カ月後にイギリスのメディアが報道して初めて世人の知るところとなった。

(4)核実験。国連が『核兵器不拡散条約』と『核実験全面禁止条約』を採択した後、世界の反核ブームを受けて、ほとんどの国が非核路線を取った。しかしごく少数の国は依然として核兵器増強を目指し、核実験を行っている。そのうちインドとパキスタンは1998年5月にそれぞれ5回、6回の核実験を行い、北朝鮮は2006年10月と2009年5月に2度の核実験を行い、すでに核国家になったことを宣言した。特に心配なのは、北朝鮮が人工密集地域で核実験を行ったことだ。現在までに核大国で行われた核実験はすべて無人の大砂漠か無人島で行われてきた。核実験が絶対に失敗しないと保証することは誰にもできないからだ。唯一北朝鮮だけが、頑として東アジアの人口密集地域で核実験を行っている。ここで事故が起きれば、朝鮮民族が何世代にもわたって暮らしてきた半島が汚染され、立脚の地を失い、そして周辺国家、特に中国も致命的な打撃を受ける。北朝鮮の核実験場は中国との国境から数十キロしか離れておらず、中国の政治経済の核心地帯は朝鮮半島に近い東部沿海地域と東北部にあるからである。

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