最先端レベルにある列車

京滬鉄道が使用する列車はそれぞれ中国南車製造のCRH380Aと、中国北車製造のCRH380B。世界先進レベルの動力分散型電動編成車両で、自主設計の時速３５０キロと時速３８０キロの動力車を有している。この車型は現在のところ世界最先端であり、中国の動力車の設計・製造レベルが世界をリードしていることを象徴している。

京滬鉄道の調整試験で４８６．１キロの最高運行時速を記録した際に使用したのは、中国南車のCRH380Aであり、当時の同列車の脱線係数、車輪負荷軽減、車輪軸横向き力の最大値はそれぞれ０．１３、０．６、１６、高速列車の要求標準値は０．８、０．８、４８以下。これら他人から見るとやや単調なパラメーターは、中国の高速鉄道の安全性は信頼でき、非常に優れていることを示している。

中国科学院力学研究所研究員の楊国偉氏によると、同所が担当したのは、高速列車の空気動力学を最適化した設計であり、多くの技術は同所の航空宇宙動力学の研究をもとに確立されたという。高速動力車CRH380Aの先頭車両の設計は、企業４社が共同で２０余りのタイプを設計し、デジタル分析と風洞実験を行い、さらに同済大学で自動車風洞による騒音試験を実施。繰り返し比較、選別し、最終的に振動を減少し騒音を低下させる効果のある先頭車両を選定した。

列車には１等車、２等車、ビジネスクラス、食堂車のほか、VIP専用ラウンジを設置。ラウンジは運転室のすぐ隣に２カ所あり、ビジネスクラスと同様のシートが２つ、高級ソファが３つ、また電子スクリーンなどが設けられている。スクリーンは運転室とラウンジの間にあり、電流が通る前は水煙のガラスになっているが、乗客がスイッチを押すと、水煙層はすぐに消え、乗客は運転士の運転を見ながら、運転士の視覚で列車の運行を眺めることができる。

ビジネスクラスでは横になったり、回転したりできる赤色のソフトなシートを２４席設置。１列３席で、１人掛けと２人掛けの２種類ある。座る、横になる、いずれも切り替えは簡単だ。さらに手動で１８０度回転させて向きも替えられる。シートは高級皮を採用し、各席にはテレビ、スモールテーブル、コンセント、ライトが設けられている。

ビジネスクラスの一端にサービスコールパネルがある。乗客がスイッチを押すと、車両の一端にいる乗務員はパネルを通してどの乗客がサービスを求めているかが分かる。

１等車は１列４席で、リクライニング・シート。上方にライトがあり、トイレは２カ所、洗面室は１カ所。２等車は１列５席で、２人掛けと３人掛けに分かれている。トイレは２カ所、洗面室は１カ所。体の不自由な人のため専用シート、洗面所はいずれもバリアフリーだ。洗面所には自動開閉スイッチ、手すり、ベビー休憩室が設置されている。

CRH380Aボギー台車の研究・開発担当責任者の馬利軍氏は「見たところ平らで真っ直ぐな鉄製レールは実は、完全に真っ直ぐにすることはできず、湾曲することがある」と話す。列車運行時には「蛇形の運動」をするため、この運動の際の安定性の問題を解決した。４００キロの時速で運行しても、テーブルに置いたタマゴは転がらず、３５０キロでは立てたタバコは倒れないという。

CRH380Aの運行時の騒音は非常に低く、時速３００キロの場合、騒音の最終測定は６１デシベル。旅客機が正常に飛行している際のキャビンの騒音は、８１デシベル、時速１２０キロの小型車の騒音は７６デシベルだ。

新華社の報道によると、列車の安全性能は非常に高く、時速５４０キロで１キログラムのアルミ製弾丸がフロントガラスにぶつかっても、ガラスが壊れるだけで貫通はせず、車内にいる人が負傷することもない。時速４００キロで１キログラムの飛ぶ鳥が、時速４００キロで２０グラムのアルミ製弾丸がフロントガラスにぶつかった場合も、ガラスが壊れることはないという。