憂うべき低出生率
国際的には、通常60歳以上人口の総人口に占める割合が10%に達するか65歳以上人口の割合が7%に達することが、国・地域が高齢化社会に入ったことの基準とされている。第6回国勢調査の結果、中国の60歳及びそれ以上の人口の全国人口に占める割合は13.26%、65歳及びそれ以上の人口の割合は8.87%であった。
河南省は高齢化が進んでいる。写真は鄭州市の公園で歌と演奏を披露する老人合唱団 (王頌撮影)
北京大学国家発展研究院の曾毅教授の計算によると、現行の計画出産政策に変更がなければ、2030年以降、中国の労働力は10年ごとに1億ずつ減っていくという。一方で65歳以上の高齢者人口は総人口の9.1%を占めると見られる。
中国が過去30年余りで経済成長の「奇跡」を成し遂げた原因を説明する時、「人口ボーナス」は極めて重要な要因だと考えられてきた。第6回国勢調査データ発表後、「人口ボーナスの消失」という観点が出現した。国務院発展研究センター金融研究所の巴曙松副所長は次のように考えている。今回の人口調査により、中国は児童扶養者比率の低下がこれまでの予測よりはるかに速く進み、中国はすでにルイスのターニングポイントを越え、労働人口数は2015年前後に減少し始めることが分かった。つまり人口ボーナスの消失が確認されたのだ。
国家統計局の馬建堂局長も、総数から見て、中国の労働力総数、労働力資源総数が最高に達するのは2013年で、労働力供給はまだ余裕があるが、2013年以降は、中国の労働力資源、就労適齢労働人口は次第に減少していくだろう、との考えを示している。
こうした厳しい人口情勢下にあって、多くの中国人口専門家はここ数年一貫して中国は計画出産政策を調整し、第二子出産制限を適度に緩和するべきだと呼びかけてきた。
北京大学国家発展研究院の曾毅教授は、中国は早急に出産間隔条件つきの第二子出産容認政策へと着実にシフトするべきだと提案している。すなわち適度な「晩育」(ある程度の年齢に達してからの第一子出産)年齢条件と出産間隔条件を設けることを前提に、第二子出産制限を緩和するのである。曾教授の考えでは、第二子出産政策は労働力不足の問題を改善すると同時に、「晩育」と出産間隔条件で総人口が短期間内に急増しないことも保証できるという。
曾教授の計算によると、この政策案でいけば中国の人口総数がピークに達するのは2038年で、人口は14億8000万となり、その後はゆっくりと減少していくと予想され、新たなベビーブームや収拾のつかない人口増加を招くことはなく、また資源不足や環境破壊が生じることもないという。
しかし、多くの兆候が示す通り、中国政府は計画出産政策緩和の可能性を示してはいない。
「北京週報日本語版」2011年5月30日 |