また同氏は「レアアースを例に挙げると、中国はレアアース大国であり、埋蔵量と生産量は共に世界一を誇る。しかし、中国がレアアース生産の抑制を厳しくしたため、以前は破格の安価で取引されていたレアアースの値段が去年急騰した。今、採掘量をいくらか拡大すれば、市場の掌握に有利となり、国際市場における発言権も増すだけでなく、中国の過剰抑制を責める各国の声も収まるだろう」と述べる。

また同時に苑氏は、非鉄金属産業の生産総量抑制政策の実施は、業界全体の構造調整に一定の刺激を与え促進することになり、市場集中度を高めることは業界が発展するための必然的な趨勢だと見ている。

しかし実際のところ、一部の非鉄金属に対しては今以上に厳格な抑制政策の実施が必要である。例えば電解アルミだ。今年差し止められた増設予定プロジェクトの生産能力は中国の現有電解アルミ生産能力の約３６．９％。長期的に見れば電解アルミ生産能力拡張の抑制にはプラスだが、短期間内で生産能力過剰問題を解決することは難しく、電解アルミ産業が受ける実質的な影響は限定的である。

工業・情報化部の資料によれば、近年来、急速な投資拡大によって、中国の電解アルミには生産能力過剰や供給過剰といった矛盾が突出してきた。また、ごく一部の受益者に駆り立てられて、一部地域では依然として電解アルミプロジェクトの建設が加速しており、果ては、投資誘致の際に土地、税収、電気代などの面で優遇政策まで用意されている。一部の企業は「先に建設して後から認可申請する」という方法でプロジェクト建設を進めたため、電解アルミは供給が需要を上回り、業界内で激烈な競争が繰り広げられ、市場価格は低迷、企業の収益能力は落ち込む、といった矛盾がさらに顕著になった。２０１０年末、全国の電解アルミ生産能力は２３００万トンに達したが、実質生産量は１５６０万トンで、設備利用率は７０％にすぎなかった。２０１０年１月～１１月のアルミ精錬業の利潤は１０４億４１００万元だったが、販売利益率はわずか３．５９％で、工業界の平均を大幅に下回っている。

現在、全国で進められている電解アルミプロジェクトは２３件で、総規模は７７４万トン、総投資額は７７０億元。もし、このプロジェクトすべてが稼働すれば「十二五」（第１２次五カ年計画）の末期には、全国の生産能力が３０００万トンを超え、生産能力過剰による矛盾が更に深刻化することになる。工業・情報化部の資料には「電解アルミ業のこういった無秩序な拡張や重複建設を食い止めなければ、中国のアルミ工業の健全な発展に不利になるばかりか、将来的に国や企業に大量の資源や資金を浪費させることになる」と書かれている。

国家発展改革委員会の資料によれば、ここ５年来の中国における電解アルミ生産能力の年平均伸び率は２０．４４％にまで達し、その拡張スピードは世界一である。生産能力の拡張に伴い、国内アルミ市場の供給過剰による矛盾が比較的突出してきており、アルミ価格にはっきりと抑制傾向が見られるという。

国家発展改革委員会対外経済研究所の張燕生所長の話では、電解アルミ産業の生産能力過剰問題は、単純に需給面から考えたのでは効果的に解決できず、業界全体が効果的な製品構造のグレードアップと業界集中度の向上を必要としているという。