「5.12」汶川地震発生後、甚大な打撃を受けたチャン(羌)族文化は一時社会の焦点となった。3年が過ぎ、震災後の再建の過程で、チャン族の古い歴史を持つ文化は手厚い保護を受けたが、世界のその他地域の少数民族文化と同様に、現代工業文明による「同化」の危機に瀕している。
本誌記者 徐 蓓
「新居に引越したが、わたしたちチャン族はやはり昔の集落が懐かしい。あそこにはチャン族の魂があるからだ」。76歳になるチャン族の王明全さんは記者にこう語った。王さんは四川省阿壩州雁門郷蘿蔔寨村の出身で、王さんの言う「昔の集落」こそが長い歴史とチャン族の特色を持つチャン族の集落である。
チャン族は中国西南部に暮らす古い歴史を持つ民族だ。岷山と岷江の間に居住し、多くが高い山の上で暮らしているため、「雲の中の民族」と呼ばれている。チャン族の主な居住地である岷山山脈は龍門山断裂帯に位置しているため、「5.12」地震発生後、彼らのふるさとは甚大な被害を受け、同時にチャン文化も損なわれた。鮮明な民族的特色を持つ望楼や民居が損壊し、もともと数の多くなかったチャン文化継承者の多くが地震で命を落とした……。
汶川県雁門郷蘿蔔寨村で、新集落の建設状況を説明する馬前国・村党支部書記(撮影石剛)
震災後の再建の中でどのようにチャン族文化を保護し継承していくかが、政府とチャン族の人々がともに直面する問題となった。「5.12」汶川地震3周年にあたって、記者は汶川県の3つのチャン族の村落を取材し、地震で甚大な被害を受けたチャン族文化の現状を追った。
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