影響
中国銀行国際金融研究所が公表した報告書は「今回の整理・整頓は、乳製品業界の食品の安全にかかわる事件の発生を低下させる上で非常に役立つ。業界全体の健全かつ秩序ある発展、消費者の乳製品市場に対する信頼の向上にもプラスとなる」と分析している。
報告書はさらに次のように指摘。「現在、国産粉ミルクと輸入粉ミルクの市場全体でのシェアは接近しつつある。だが、高級市場では輸入品が明らかにリード、優位にある。政府の粉ミルクの生産・流通段階での監督管理能力が高まれば、総体的に、消費者の国産粉ミルクに対する信頼も向上するだろう。なかでも、直接的な利益を受けるのは、ごく普通の粉ミルクを生産している企業だ」
農産品専門分析機関・東方艾格のアナリスト陳連芳女史は「今回の整理・整頓は、行政手段を使って、また政策面から業界内の見直しを促したもので、淘汰された数百社はこれまで、およそ市場シェアの20%、乳業資源では30%近くを占めていた。今後、資源とシェアはさらに大企業へと流れ込み、中国の乳業の枠組みもそれに伴い変化していくだろう」と指摘する。
では、整理・整頓の後、乳製品の品質上の安全は人びとを100パーセント安心させることができるのか。陳女史は「再審査を通った643社に政府は許可証を発行するが、それは各社が現有するハードな条件を評価、審査した結果に過ぎず、乳製品を生産する資格があるだけだと考えたからだ。食品の安全を真に握っているのは、やはり企業。企業の一人ひとりの幹部、一人ひとりの従業員の社会的責任感が品質の安全を決定する」と強調。
乳製品業界の整理・整頓はプラスの影響をもたらした。だが同時に、軽視できないマイナスの事実も明らかになった。先ず、再審査に通らなかった多くの企業が倒産すれば、一部の酪農家は源乳を売るのが難しくなる。大半は個人経営者で、源乳販売で生計を立ててきたが、この問題が解決されなければ、彼らの生活は困難を極める。
次に、淘汰された数百社にのぼる企業の労働者は職を失い、企業の債権や債務をいかに処理するか、といった問題だ。円滑に解決されなければ、もともと企業自身の問題が直接、社会問題へと発展する可能性もあり、社会の安定にマイナスの影響を及ぼすことになる。
「北京週報日本語版」2011年4月21日 |