本誌記者 蘭辛珍
中国は今、乳製品業界に対し「史上前例のない」厳しい整理・整頓を実施している。半数近いメーカーがすでに生産許可証を取り消されており、さらに多くの食品販売店が乳製品の販売を禁止される。
今回の整理・整頓は、国家品質検査総局と国家工商総局が主導。検査総局は乳製品メーカーの生産許可の再審査、工商総局は乳製品販売経路の適正化に当たる。
今回、当局が乳製品業界にメスを入れたのは、この数年間に起きた品質問題に由来する。2008年、中国最大の乳幼児用粉ミルクメーカーの三鹿集団生産の粉ミルクにメラミンが含まれていたため、一部の乳幼児が病気にかかった。そのため政府は、全国範囲で三鹿集団の粉ミルクを飲んだことのある乳幼児の健康についてローラー作戦で調査を実施。三鹿集団は破産、倒産した。09年3月、品質検査部門は浙江省金華晨園有限公司が牛乳など飲料に皮革水解タンパクを添加していた違法行為を摘発、法に基づき厳しく処分した。こうした一連の事件がメディアにより明らかにされると、消費者は国産ミルクに不信を抱き始めた。10年の春節前後、大陸の民衆が頻繁に香港や澳門で乳幼児用粉ミルクを大量に購入、輸入したことから、現地では品不足となった。
4月11日、連雲港市のあるスーパーで乳幼児用粉ミルクを購入する子供づれの消費者
現在進めている整理・整頓は、国が乳業全体に対するチェーン状の監督・管理を完備するものだとして評価されており、業界関係者は、消費者の国産乳製品に対する信頼回復が促されると見ている。
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