顧客を応待する湖北省随州曽都香港上海村鎮銀行有限責任公司の行員(新華社)
低い参入ハードル
農村地域銀行業の金融機関ネットワークカバー率の低さ、金融供給の不足、競争の不十分さなどの問題を解決するため、中国銀監会は2006年末に村鎮銀行という概念を打ち出した。村鎮銀行とは新型農村金融機関の一種で、ターゲット顧客は県域、村鎮(村や町)など金融サービスがあまり十分ではない地域により多く集中している。
銀監会の関連規定によると、村鎮銀行の開設に必要な登記資本は、県城で開設する場合は300万元、県以下の郷鎮(町・村)で開設する場合は100万元、行政村で小額融資会社を開設する場合は10万元だけでよい。
村鎮銀行の業務参入条件と経営範囲の規定も他の商業銀行より緩やかだ。村鎮銀行は各種銀行業務を取り扱うことができ、積極的に各種商品を開発することが奨励されている。しかも村鎮銀行は董事会のみ設置すればよく、董事会は高級管理層への監督職能を行使する。
唯一比較的厳格だと考えられている政策は村鎮銀行の資金使用についての規定で、中国政府が公布した『村鎮銀行管理暫定規定』の定めによると、預金準備金を納めた後、村鎮銀行は使用可能な資金をすべて現地の農村経済建設に用いなければならない、とされている。村鎮銀行の資金貸付はまず県域内の農家、農業、農村経済発展の需要を満たさなければならない。現地の農村資金需要を確かに満たした場合は、余りの資金を現地のその他産業への貸付、農業関連債券の購入、その他金融機関への融資に回してもよい。
2007年12月13日、中国初の外資系村鎮銀行である湖北随州曾都香港上海村鎮銀行有限責任公司が随州市三里崗鎮で正式に開業した。その主要業務は三里崗鎮と周辺郷鎮の農家と農業企業向けに、預金や貸付など全面的な農村金融サービスを提供することだ。
中央財経大学金融学院の郭田勇教授は次のような見方を示している。外資系銀行は中国市場に参入してから日も浅く、ネットワークを拡大する必要があるため、農村金融の試験的展開に比較的積極的で、中国の監督管理部門も外資系銀行が農村金融市場に新たな活力をもたらすとの期待から外資系銀行を政策面から支援すると見られる。これが外資系銀行が農村地域での展開を加速する主な理由である。
欠損を出さないことを保証するために、外資系銀行は開設場所を選択して農村地域での展開を行っている。香港上海銀行は経済開発区に隣接する場所に村鎮銀行を開設する傾向がある。例えば同行が開設した湖北随州香港上海村鎮銀行は経済開発区周辺にある。また、スタンダード・チャータード銀行は企業に便利なところを選んでいる。例えば内蒙古自治区に開設したホリンゴル村鎮銀行は有名な乳製品企業である蒙牛公司の近くにあり、現地の酪農農家に対して貸付を行っている。
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