中国の中央銀行である中国人民銀行は4月6日から基準利率を0.25%利上げすると発表した。
中国興業銀行シニアエコノミストの魯政委氏は5日、今回の利上げはインフレ抑制が依然として政策の最重要任務であり、通貨政策に注力する必要があることを示すものだ、との見方を示した。その理由は以下の2つである。
1つ目は、3月に中国製造業PMI(購買担当者指数)が再び53.4%まで上がり、今後経済成長が若干鈍化する可能性があることが示されたが、まだ「下降」懸念が生まれるところまでは至っていないことだ。魯氏は、第1四半期の中国の経済成長は9.5%前後となり、全体としては依然力強く成長すると見ている。
2つ目は、中国国内のインフレ圧力が依然として大きいことだ。魯氏は次のように語っている。「国際的には、原油価格が引き続き100ドル以上で安定し、国際連合食糧農業機関も今後食糧価格は引き続き高値で推移すると予測している。また国内では、3月度のCPIは今回のインフレにおける最高値を更新するかもしれないと見られている」。
しかし、業界内ではおおむね、まもなく発表される3月度CPIの数値は引き続き高くなると見られているため、政策が「引き締めを加速」するのではないかとの推測を呼んでいる。魯氏は、「通貨政策は依然中立的で穏健なものとなり、これは加速を意味しない。M2は目標ラインの16%を下回ったものの、一部指標は持ち直しており、通貨政策がただちに緩和へと向かうよう促すには至らない」と語っている。
今回の利上げの市場への影響について魯氏は、利上げは市場が「さらなる金融引き締めはないだろう」と見込んでいたタイミングで行われ、予想より早い時期であったため、今週の債券市場収益率が上がる可能性がある、と語った。
今後の中国国内通貨政策動向については、魯氏は次のように予測する。年末までに、一年定期預金利率ベースの基準利率は3.75%から4.00%まで上がるかもしれない。換言すれば、今回の利上げのほかにも、今後第2次、第3次利上げがあるかもしれない。利上げは預金準備率など数量型通貨ツールのリズムには影響しないだろう。魯氏の予測では、年末までに4大国有銀行が計算する法定預金準備率は約23%まで上がり、4月度に人民銀行が再度預金準備率を引き上げる可能性もある。
魯氏はまた、金融引き締めは効果が表れつつあるものの、今後中国国内の通貨政策はまだ「インフレ抑制」という重要任務に注ぐ力を弱めることはできず、依然として穏健で必要な強度を保ったものになるだろう、と述べた。
「北京週報日本語版」2011年4月8日 |