◇地震に負けない命の花を◇
訪中10周年記念の演奏会や南京大学の学生との交流会、地元合唱団との交流演奏などを無事に終えて、訪中団長の大門高子さんは、「ひどい災害のあった直後だったけれど、南京に来て演奏会が開催できて本当によかった。」と、次のように心情を打ち明けてくれた。
紫金草の花園に埋もれ笑顔で記念写真を撮る女子学生
「災害があったときには、どうしたらよいか、大変悩みました。一時は中止も考えましたが、こういう時期だからこそ、みんなを勇気づける歌が必要なのではないか、という意見があり、実行することになりました。」
「家族にとっては、災害で命を落とすことも、戦争で命を落とすことも同じように大きな悲しみです。今回のチャンスに、命の重さ、悲しさを思って、地震からも戦争からも、命を大切にする世の中や世界にすることを、ともに考えるようにしたい、と思いました。」
大門さんは、演奏会が始まる前、「日本では大変な災害がありましたが、平和の花紫金草が、地震なんかに負けない命の花を咲かせてほしいと思い、南京の紫金草に会いに来ました」と、会場にいる人たちに挨拶した。
◇平和な花園で団欒や笑顔◇
南京理工大学の構内には、6700平方メートルほどの杉林の中に紫金草の群生地がある。2006年3月、「平和園」と名付けて紫金草の花園として知られている。合唱団のメンバーも演奏する前、この平和園を訪れた。団員たちは、自分たちの団の名称の紫金草が、一面満開となっているのを見て「わぁ~きれい!」と歓声を上げた。
平和園内は歩道も整備され、50センチ前後に伸びた紫金草が深いじゅうたんを敷き詰めたように広がっている。花園の中では女子学生3人が、花に埋もれて記念写真を撮り合っている。母親に連れられてきた双子の女の子は、カメラを向けると一緒にポーズを取ってくれた。園内にあるベンチに腰掛けた家族連れは一家団欒で会話を楽しんでいる。ここには70年余り前の廃墟とはまったく違った平和な花園で、ゆったりと落ち着いた市民の生活があるだけだった。(写真はすべて筆者写す)
「北京週報日本語版」2011年4月7日
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