国際原油価格の持続的上昇にともない、オーストリアのガソリン価格も2008年以来の最高額を更新した。写真は3月14日オーストリアの首都ウィーンで、ガソリンスタンドで自分の車にガソリンを入れる車オーナー (徐亮撮影)
経済調整はいっそう困難に
こうした局面において、政治的動揺は持続的な経済構造調整と非石油産業発展計画のために条件を提供することができないばかりでなく、かえって多方面から当該地域の経済政治環境をいっそう悪化させてしまった。
石油や天然ガスなど資源開発業界が大規模に生産停止・減産となり、今年2月にリビアの1日当たり原油供給量は前月の158万バレルから138万5000バレルまで減り、外国軍のリビア攻撃前にはさらに40万バレル以下まで落ち込み、通常時の4分の1以下になった。国内外の観光客はすっかり恐れをなしたため旅行業界が冷え込み、観光客が戻るまでには長い時間が必要だろう。国家財政収入は激減したが、支出は激増した。住宅から道路、橋梁、水道管に至るまで、経済社会発展に必要なインフラ建設は全面的にストップした。専門知識を持つ青年・壮年層の労働者と、現地経済の正常な運営に必要不可欠な外国籍労働力は百万人規模で国外へと流出した。資本が国外流出した。リビアなどの国への制裁の巻き添えを食って、当該国と他の西アジア・北アフリカ諸国企業の正常な国際商業取引のコストが高くなった。
さらに懸念されるのは、政治的動揺で政府の権威が弱まったのに乗じて、それまで強く押さえつけられていた一部過激派が勢力を増していることだ。複数の国で、悪質な排外事件がいくつも発生している。続けざまに起こる暴力事件や強奪事件により百万以上規模の外国籍労働力とほとんどすべての外国企業が退避を余儀なくされた後、リビア過激派の矛先はすでにリビア国内に居住・就労しているサハラ以南のアフリカ系住民に向けられている。国連広報センターが発表した情報によると、国連難民高等弁務官事務所のスタッフがエジプト国境でリビア東部から避難してきたスーダン人に話を聞いたところ、反政府武装勢力はサハラ以南アフリカ出身者を軒並み強制的に追い出しており、多くの人が身分証明を没収されたり廃棄されたりしたという。外国の石油天然ガス会社、電気通信会社、工程請負会社と外国籍労働力は西アジア・北アフリカ諸国が経済社会の正常な運営を維持するために欠かすことはできず、しかも高収入アラブ諸国であるほどその役割は重要だ。これまでの動乱で、当事国の今後の経済再建には、外国企業と国民経済損失の賠償、締結済み契約の継続性確保など難題が山ほどつきつけられた。こうしたマイナスの事象が蔓延し、外国企業と外国籍労働力がしり込みすることになった場合、これらの国が将来の経済再建でどれほどのツケを払うことになるのかは推して知るべしである。
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